すごい、と感心するような逸話がさまざまある人物ですが、書き始めるとかなり長くなりそうなので、また別の機会にこっそりまとめたいと思っています。なにはともあれ、フィリッポ・カルリは映像、写真、絵画、詩、とマルチにこなすアーティスト。あくまで気楽に、どこか真剣味なく、しかし思い切りよく「生き抜く力」を教えてくれる人物です。了解を得て、彼の作品のいくつかを紹介させてもらうことにしました。 Continue reading
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人が暮らす現代美術館: Metropoliz、あるいはMAAM
ローマで「現代美術館は?」と聞かれて、すぐに思いつくのはフラミニオ地区のMAXXI、そしてテスタッチョ地区のMACROというところですが、実はもうひとつ、プレネスティーナ通り913番地に、土曜日だけ公開されるMAAMーMetropoliz(メトロポリツ)という巨大アートスペースがこっそり存在していることは、一般にはあまり知られていません。しかもそのスペースには、250人余りの人々がアート作品と共に普通に暮らしているのです(タイトル写真は、ある角度から部屋を見ると、LE SPACE EST A VOUS. スペースは君たちのものだ、と文字が浮き上がるフランス人アーティストによる作品)。 Continue reading
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踊るジプシーと、作家ヴァニア・マンチーニ
ジプシーの人々ーここでは、そもそもの彼らの民族の名『ロム(Rom)』と呼ぶことにします。『盗み』『物乞い』というネガティブイメージがあまりに根強く、社会から顧みられることのないロムの人々、子供たちが、これ以上社会から排斥されないよう、地域の学校と協力、ロムと社会の間に接点を見出す活動に 20年近く関わり、 彼らと交流しながらその状況を書き続ける作家ヴァニア・マンチーニに、さまざまな話を聞いてみました。
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永遠のピエール・パオロ・パソリーニ
日本では、もはやマニア、あるいは研究者以外には、あまり語られることのないピエール・パオロ・パソリーニですが、イタリアにおけるここ数年の、特に若い人々の間でのパソリーニ人気の高まりには目を見張るものがあります。今年2015年、彼がオースティアの沿岸、水上機停泊地で惨殺されて40年を迎えた11月2日の命日、ローマはもちろんイタリア各地でパソリーニ関連のイベントが開かれ、新聞、TVのマスメディアも大きく特集を組みました。 Continue reading
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PARIS
今朝、エレベーターで一緒になった階下に住むイタリア人紳士は「悲しい、恐ろしいことだ。しかしこれは欧米がやってきたことへの報いかもしれないじゃないか。われわれはこの状況、何が起こっても今まで通り普通に生きるしかない。いや、普通に生きる努力をしなくちゃいけない。じゃあ、また。今日もいい一日を」と達観した表情で早口で言うと、足早に仕事へと出かけて行きました。(タイトル写真はアンリ・カルティエ・ブレッソン)
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芸術家ディエゴ・マッツォーニとフラミニオで
街を散歩するにはちょうど気持ちよい季節。画家、そしてミュージシャンでもあるディエゴ・マッツォーニと一緒にフラミニオ地区を歩いてみました。というのも彼に会うたび、その繊細で、ちょっとマジカルな視点に、なるほど、このようにローマに接するともっと多くのことが見えてくる、とおおいに学ぶことがあるからです。また、子供のころ、『鉛の時代』をライブに過ごした彼の記憶から、街角に充満していたその時代の空気を、多少とはいえ、窺い知ることもできました。 Continue reading
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Leaと行くヴェネチア・ビエンナーレ
2日間という短い時間でしたが、ローマを離れ、ジュネーブ在住のイタロフランセ(仏伊国籍を持つ)のアーティスト、Lea Tania Lo Cicero(レア・タニア・ロ・チチェロ)とヴェネチア・ビエンナーレに行きました。ビエンナーレのあり方については、多少批判的な気持ちもなくはない、のですが、それでも2年に1度のお祭り、世界各国から集まったアートのラビリントで迷う「非日常」はなかなかえがたい体験です。 Continue reading
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『鉛の時代』と「死刑台のメロディ」:米国最悪のサッコとヴァンゼッティ冤罪事件
ご承知の通り、イタリアも日本同様、第二次世界大戦の敗戦国です。しかし同じ敗戦国であっても、イタリアは世界でも10本の指に入る武器産出国であったり、NATOの一員であったりと諸々の状況は大きく異なります。もちろんイタリアは欧州連合を形成する1国ですから、地政学的な相違が大きいのですが、米伊の関係に関しては、1800年代後半からのイタリア移民に端を発する両国の愛憎が影響しているように思います。(タイトルの絵は Ben Shahn : Vanzetti e Sacco) Continue reading
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ローマ大学サピエンツァに通うジュリア・リサーリに、政治のあり方、宗教に関する忌憚のない意見を聞く
ここしばらく、アンダーグラウンド・ワールドの、どちらかというとコアな人物へのインタビューが続いたので、若いお嬢さんともお話ししてみよう、と最近知り合った大学生にインタビューをリクエストしてみました。今年の9月から大学生になったばかりのジュリア・リサーリに、ローマの若い世代は毎日どんなことを思いながら過ごしているか、日常を尋ねてみます。 Continue reading
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『鉛の時代』の「占拠」から現代へ: ローマの心臓部、Spin Time Labsの場合
イタリア人を含める30カ国以上の国籍、130世帯もの家族が占拠している巨大な建造物があることを知ったのは、映画監督パオロ・グラッシーニとの雑談からでした。「大がかりな『占拠』だよ。週末は地下にあるチェントロ・ソチャーレ(反議会政治グループの占拠による社会文化スペース)で、レゲエだの、テクノだの夜通しパーティをやっていることもある」 Continue reading