Category Archives: Cultura popolare

『イワシ運動』効果が炸裂、投票率が倍になった州知事選とそれからのイタリア

1月26日に開催されたエミリア・ロマーニャ州知事選挙は、67.67%(!)という、まるで国政選挙を思わせる投票率となり、2014年に行われた前回の州選挙と比較して、約2倍の数字を記録しました。極右政党『同盟』マテオ・サルヴィーニが「この選挙こそ、『民主党ーPD』『5つ星運動』連立政府への国民の信任を試す試金石、いわば『国民投票』だ」、と大上段に挑戦状を突きつけ、これでもか、これでもか、とキャンペーンを張ったエミリア・ロマーニャ州知事選は、しかしあっさり『民主党』左派陣営に持っていかれることになった。ボローニャ、マッジョーレ広場から突如としてはじまり、今やイタリア全土を席巻する市民ムーブメント6000サルディーネ=イワシ運動が、この選挙に大きく貢献したことは言うまでもありません。 Continue reading

Published by:

誕生1ヶ月で、ローマ:サン・ジョヴァンニ広場を満杯にしたイワシ運動『100000サルディーネ』

サン・ジョヴァンニ広場はかなり広々としていて、5万人、6万人が集まる政治集会やコンサートでも、わりと自由に行き来できるのですが、10万人ともなると前進するのも、後退するのも、ほぼ不可能という状態になります。広場にたゆたう人の波。見渡す限りの『サルディーネいわしたち』が、思い思いに手作りした『クリエイティブいわし』をマニフェストして、歌ったり、踊ったり、暗くなるまでフェスタが続いた。ボローニャの広場からはじまって、たった1ヶ月ローマに10万人を集めるまでに急成長したアンチファシズム市民ムーブメントを発案したのは、エミリア・ロマーニャの青年たちとイタリア全国の仲間たち。前項「瞬く間にイタリア中に押し寄せたアンチサルヴィーニの魚たち『6000サルディーネ』の続編です。 Continue reading

Published by:

瞬く間にイタリア中に押し寄せた、アンチサルヴィーニの魚たち『6000サルディーネ』

ヴェネチアをはじめ、各地方が高潮で大きな被害を受けたり、欧州で最も規模が大きい鉄工所のひとつ、ILVA(イルヴァ)の現所有会社である多国籍企業Arcelor Mittal(アルセロール・ミッタル)が、突然契約を破棄すると言い出したり、このところのイタリアは、どんより重たいニュースに覆われていました。『イタリア民主党ーPD』と『5つ星運動』の連立政府は、双方どうも噛み合わず、そうこうするうちに極右勢力が勢いを取り戻しはじめ、このままひょっとしたら「総選挙に突入して 政権を奪還されるのでは?」とドキドキしていた。そんな時、まさしく海を泳ぐ魚たちのようにキラキラ光り輝き、しかも爆発的な勢い大群をなして現れたのが『6000サルディーネ』たちだったのです(タイトルの写真は、このムーブメントの発案者の登壇に喝采をあげるフィレンツェのサルディーネたち)。 Continue reading

Published by:

小説「パッショーネ」Passione

そもそもこのサイトをはじめるきっかけとなった小説、『パッショーネ』が、KindleiBooksで発売されることになりました。去年から予告していたにも関わらず、思いのほか長い時間がかかってしまったこの小説は、ローマの街角で起こった実際の事件をヒントに、架空の人物、状況を設定し、再構築したミステリー・フィクションです。そこでほんの少しだけですが、一章の半分をこのサイトで公開させていただくことにしました。もちろん、『鉛の時代』のリサーチをはじめ、ローマの人々のインタビュー、出来事を掘り下げるこのDeep Romaは、これから先も今まで通り、ああでもない、こうでもない、と続けていく所存です。

Continue reading

Published by:

貧しき者たちに寄り添い、『インテグラルなエコロジー』を世界に訴えるフランシスコ教皇

最近のイタリア政治には少し暗雲が漂っていますが、まもなく教皇が日本を訪問されるので、キリスト教やローマ・カトリック教会のこと、そしてフランシスコ教皇が日頃おっしゃることなど、改めて考えたり、調べたりしてみました。なにより深く感銘を受けるのは「貧しき者たちによる、貧しき者たちのための教会を」とおっしゃって、社会で最も弱い立場にある人々に常に寄り添い、消費主義=『廃棄文化』に誘発された環境破壊と気候変動が、地域社会、ひいては世界の均衡を大きく崩している、とご指摘なさることです。わたしはカトリックの信仰者ではありませんし、一神教には懐疑的ではあっても、教皇のおっしゃることには強い共感を覚えています(写真は、いつの頃からかローマの地下鉄スペイン広場駅に描かれたグラフィティ)。
Continue reading

Published by:

『アートはそもそもフェミニンである』アート界の常識を覆す未来へと向かうローマの女性たち: FEMME

2014年から5年間に渡り、女性アーティストたちを含めるアートに関わる女性美術評論家、作家、キュレーター、哲学者、学者たちが参加する『FEMME』が、リサーチ/フィールドワークという形でたびたびイベントやミーティングを開いています。今年の3月には、ローマ市営美術館 MACRO ASILOを舞台に、彼女たちの今までのリサーチと考察をまとめた一冊の本、ARTE [EVENTUALMENTE] FEMMINILE (場合によってはフェミニンなアート)のプレゼンテーションを開催。アートにおけるジェンダーの常識を覆す野心的なアプローチで、揺るぎない存在感と未来への指針を示した。その中心人物であるローマのアーティスト、ヴェロニカ・モンタニーノと美術評論家であり、作家のアンナ・マリア・パンツェーラにじっくり話を伺いました(タイトルの写真はヴェロニカ・モンタニーノの最新作 『CIRCUS NATURAE(自然の巡り)』)。 Continue reading

Published by:

子供たちの叛乱:ラミィ、アダム、シモーネ、そしてローマにやってきたグレタ・トゥーンベリ旋風

イタリアの、そして世界の権威ある大人たちが、謀略や政争やつじつま合わせに夢中になっている間に、子供たちはロジカルに冷徹な視線で世界を見つめ、「こんなことはおかしいんじゃないか」と声をあげはじめています。たった8ヶ月の間に欧州だけでなく、世界中のエコロジストのアイコンとなった16歳環境活動家グレタ・トゥーンベリを支持する子供たちはもちろん、この春のイタリアでは、ラミィアダム、そしてシモーネと、未成年の子供たちが次から次に世間を「ハッ」と驚かせ感動させる、あるいは大人たちの深い共感を呼ぶ出来事が相次いでいる。日々の生活に追われ、世間の垢にまみれた「わけ知り顔」の大人たちがすっかり忘れていた、まっすぐで無垢な彼らの信念が、われわれ大人たちの「汚れちまった悲しみに」まぶしい光を当てました。

Continue reading

Published by:

ロシア、米国、中国、欧州連合:列強入り乱れるイタリアと『世界家族会議』

国際婦人デーの5万人デモを皮切りに、3月のローマでは女性たちに関するイベントが各地区でポジティブにパワフルに繰り広げられ、当初は女性たちをテーマにこの項をまとめるつもりでした。しかし現在、女性たち、そして彼女たちを応援する市民の大きな懸念となっている『ピロン法案』を調べるうちに、米国右派やロシアの宗教原理主義者たちが中核を担う『世界家族会議』までをたどらざるをえなくなった。そのうちローマに、『一帯一路』プロジェクトを含む中伊通商合意の覚書に調印するために中国首席が訪れ、それから1週間もせぬうちにヴェローナで『世界家族会議』が開催された3月のイタリアが、いつのまにか世界の縮図のような状況になっていることに「ええ!」と驚くことになったわけです(タイトルの写真は『ピロン法案』に反対するフェミ・デモに集まった人々)。 Continue reading

Published by:

ミラノの大規模アンチレイシズムデモと、ローマのエスニック地区カーニヴァル

25万人もの市民を集めたアンチレイシズムデモが、3月2日、ミラノで大々的に開催されました。Peopleprima le persone (ピープル・ファースト)をスローガンに、カーニヴァルの華やかな季節に開催されたこのデモは、音楽やダンス、かなり凝ったコスプレのグループなど、先頭の一団が目的地のドゥオモ広場に到達した時に、まだ出発地点で動きがとれない人々がいたほど、街中が人、人、人で埋まったそうです。市民たちの賑やかで陽気なこの反乱は、もちろん難民の人々に対する残酷な政策や暴言、女性差別的な法案を無理やり押しつけようとする現政府に翻した、市民のパワフルな反旗に他ならず、ミラノだけでなくイタリア全国でアンチレイシズムの機運がますます高まっている。ミラノまでは残念ながら行けませんでしたが、ローマのエスニックエリアで開催された、あらゆる民族の子供や大人たちが、思い思いのコスプレで仲良く参加した、ローカルで温かい『すべての色のカーニヴァル』マーチに参加しました(タイトルの写真は、ローマのカーニヴァルのワンシーン)。 Continue reading

Published by:

アートと人が躍動し、増殖する”マイエウティカ” ローマ市営美術館:MACRO ASILO

次から次に政治混乱のニュースが流れ、負のエネルギーがあまりに強烈で思考が停止しそうなとき、ふらり、とこの美術館を訪れると、なんとなく安定した気持ちになります。気持ちの次元が変わるというか、スペースに漂う挑発的でありながら、どこか緩やかなエネルギーに救われるというか、生産的な『現実』が、わたしが生きる世界に同時にあるのだ、と改めて思い出させてくれるのがMACRO ASILO。ローマの宝石とも言われる繊細な佇まいの市営美術館MACROが懐深い実験プロジェクト、MACRO ASILOとなりオープンして4ヶ月。有名アーティストによる絵画やオブジェなど、いわゆる通常の、有料での『展覧会』は一切開催されていないのに、いつ行っても必ず、斬新なドキュメンタリーフィルムやパフォーマンス、アート作品や考え方、そしてアーティストたちとの出会いがあり、しかも『無料』という気前よさです。 Continue reading

Published by: