Category Archives: Eccetera

2021年に向かって、なおいっそう閉じられたローマの街を照らし、瞬くクリスマスの光、ベツレヘムの星

何が起こったのか、まったく理解できないうちに、未知のウイルスの感染拡大からはじまった2020年も、いよいよ終わりに近づきました。だんだんに景色が色づく春、長期のロックダウンを経たにも関わらず、再び厳しいロックダウンクリスマス・シーズンを迎えたローマの今年は、身体的な移動はきわめて狭い範囲に限られましたが、今まで体験したことのない動揺や現実離れした恐怖、悲しみ、安堵、共感、再び不安、と目まぐるしく気持ちが動いた1年でした。なにより、予測できないあらゆるすべてのことが、世界規模で起こりうる可能性は、実は100%なのだ、という、あたりまえのようでも、驚くべき現実を実感することにもなりました。 Continue reading

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Covid-19第2波のまっただ中、いまだかつてないクリスマスシーズンを迎えて、ストイックに閉じられたイタリア

どんとこい、と気合が入った第1波の頃とは、ずいぶん様子が変わったかもしれません。Covid-19第2波のまっただ中にある現在のイタリアでは、あの頃全国のベランダに響き渡った、共に励まし合う歌声や、窓辺に飾られた医療関係者への感謝の言葉を、ほとんど見聞きすることがなくなりました。未知のウイルスは、以前と変わらず一瞬たりとも気の抜けない恐ろしい脅威でありながら、もはやわれわれの日常の一部になったようです。イタリアでSars-CoV-2の存在が、オフィシャルに顕在化して約10ヶ月。ある程度の封じ込めに成功したはずのイタリアに、これほど過酷な状況が再び訪れるとは、正直なところ、誰も思っていなかったと思います(写真は人波の途絶えた街に、我関せず。悠々と聳えるコロッセオ)。 Continue reading

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4世紀の忘却から甦り、瞬く間に称賛の的となった、女流画家アルテミジア・ジェンティレスキ

いまや世界中で人気の、バロック初期の女流画家をテーマにした『アルテミジア・ジェンティレスキー戦士の画家』日本語版が、Amazonプライム11月25日から配信されます。その作品を制作したのが知人だったので、事前に見せていただいたのですが、知らなかったエピソードが数多く盛り込まれた、とても興味深い内容のドキュメンタリーでした。尊厳を深く傷つけられ、人々の好奇の目に晒されるスキャンダルを毅然と乗り越え、画家として生き抜いたアルテミジアは、カラヴァッジョ派の中でもひときわダイナミックな、珠玉の作品を多く残している。はるかな時を遡り、ローマのバロック初期を放浪します(タイトル写真はArtemisia Gentileschi, Autoritratto come allegoria della pitturaー絵画の寓意としての自画像, 1638-1639, olio su tela, 98,6×75,2 cm, Kensington Palace, Londra)。 Continue reading

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活気が戻ったイタリアの街角で、Covid-19と共存しながら想うアンティファシズムのこと

どこか掴みどころがない未来にもやもやしながらも、ローマの街は少しづつ日常を取り戻しつつあります。4ヶ月前に突如として感染が拡大し、イタリア全土を震撼させたSars-CoV-2でしたが、その間戦場となった医療機関での経験やデータから研究が進み、今後再び感染が拡大しそうになったとしても、ある程度は効果が期待できる対策、治療法が、すでに学習されたという印象です。そこで街角には多少の楽観ムードが流れ、活気が戻ってきた、という感じでしょうか。また、米国発の#BlackLivesMatterを先駆けとして、今までシンと静まり返っていた広場にも、見慣れた政治集会が戻ってきました。 Continue reading

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イタリアの春、Covid-19と共存する未知の世界へ : Build Back Better

ISS(国家高等衛生機関)と国家市民保護局から、毎日発表されるイタリア国内におけるCovid-19の感染状況データは、着実に好転していますが、予想していたよりもはるかにゆっくりとしたスピードです。犠牲者の方の数もなかなかゼロには近づきません。そこで予告されていた5月4日からのロックダウンの解除は一斉に!というわけではなく、経済活動の再開もしばらくの間は慎重を期され、業種、職種によって段階的に解除されます。眩いばかりの陽光が窓からなだれこむ、いますぐにでも出かけたくなる季節、われわれは人生はじまって以来の「ウイルスとの共存」という未知の春を迎えました。 Continue reading

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夜明けを待ちわびるイタリアの暗く、長い新型コロナの夜:We Shall Overcome

もちろん爆弾が飛び交っているわけではありませんが、見えない敵との厳しい闘いは、いまだ続いています。国家市民保護局とISS(国家高等衛生機関)により、毎日18時のプレスで発表されるその日のCovid-19の総感染者数の増加率が5%を切り、安定はしはじめても、なかなか好転しないデータに直面するたび、重く、張りつめた気持ちになる。暗いトンネルの中、長い道のりが目の前の闇に続き、遥か向こうに、うすぼんやりとした淡い光が見えては消え、消えては見える、希望と失望の繰り返しです。それでもここ数日は、ようやく感染状況が減少トレンドに入り、少なくともどこへ向かえば良いのか、出口の方向が見えてきました。

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2020.2.20 前触れなく訪れた新型コロナウイルスの拡大、ファイト、イタリア!

その日が来ることを、誰も予期していなかったと思います。もちろん毎日、世界中の新型コロナウイルス関連のニュースは流れていましたが、イタリアは安全圏にある、と信じて疑わなかった。前の日まで、司法改正法案を巡って連立政府内に対立が起こり、もはや日常と化した『政権崩壊危機』が連日報道されていたところでした。それが2月21日の朝突然、「昨夜ロンバルディア州のコドーニョ市で、38歳の新型肺炎患者が見つかったというニュースが駆け巡ったかと思うと、その後とどまることなく感染者が増え続け、たった2週間で、イタリアの日常はガラリと変わってしまいました(写真は再開したミラノ、ドゥオモ大聖堂)。 Continue reading

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『イワシ運動』効果が炸裂、投票率が倍になった州知事選とそれからのイタリア

1月26日に開催されたエミリア・ロマーニャ州知事選挙は、67.67%(!)という、まるで国政選挙を思わせる投票率となり、2014年に行われた前回の州選挙と比較して、約2倍の数字を記録しました。極右政党『同盟』マテオ・サルヴィーニが「この選挙こそ、『民主党ーPD』『5つ星運動』連立政府への国民の信任を試す試金石、いわば『国民投票』だ」、と大上段に挑戦状を突きつけ、これでもか、これでもか、とキャンペーンを張ったエミリア・ロマーニャ州知事選は、しかしあっさり『民主党』左派陣営に持っていかれることになった。ボローニャ、マッジョーレ広場から突如としてはじまり、今やイタリア全土を席巻する市民ムーブメント6000サルディーネ=イワシ運動が、この選挙に大きく貢献したことは言うまでもありません。 Continue reading

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誕生1ヶ月で、ローマ:サン・ジョヴァンニ広場を満杯にしたイワシ運動『100000サルディーネ』

サン・ジョヴァンニ広場はかなり広々としていて、5万人、6万人が集まる政治集会やコンサートでも、わりと自由に行き来できるのですが、10万人ともなると前進するのも、後退するのも、ほぼ不可能という状態になります。広場にたゆたう人の波。見渡す限りの『サルディーネいわしたち』が、思い思いに手作りした『クリエイティブいわし』をマニフェストして、歌ったり、踊ったり、暗くなるまでフェスタが続いた。ボローニャの広場からはじまって、たった1ヶ月ローマに10万人を集めるまでに急成長したアンチファシズム市民ムーブメントを発案したのは、エミリア・ロマーニャの青年たちとイタリア全国の仲間たち。前項「瞬く間にイタリア中に押し寄せたアンチサルヴィーニの魚たち『6000サルディーネ』の続編です。 Continue reading

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小説「パッショーネ」Passione

そもそもこのサイトをはじめるきっかけとなった小説、『パッショーネ』が、KindleiBooksで発売されることになりました。去年から予告していたにも関わらず、思いのほか長い時間がかかってしまったこの小説は、ローマの街角で起こった実際の事件をヒントに、架空の人物、状況を設定し、再構築したミステリー・フィクションです。そこでほんの少しだけですが、一章の半分をこのサイトで公開させていただくことにしました。もちろん、『鉛の時代』のリサーチをはじめ、ローマの人々のインタビュー、出来事を掘り下げるこのDeep Romaは、これから先も今まで通り、ああでもない、こうでもない、と続けていく所存です。

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