新しい動きが次々に生まれるローマの重要なカウンターカルチャーシーンのひとつ、Spin Time Labs。450人、イタリア人をはじめ18カ国の人々が占拠する、その巨大占拠スペースの電力が突然切断され、灯なく、水道も機能しない、という窮地に陥ったのは5月6日のことでした。その後約1週間、幾度となく公開総会や支援イベントが開かれ、主要メディアも続々と報道しましたが、事態は一向に解決することなく、いよいよ緊張した空気が漂った。なにより占拠者の中には病気の人々や、98人の子供たちも含まれているのです。あわや、というその窮状に、天使のごとく、ふわり、と現れたのが『コラード神父』でした。まるでおとぎ話のようですが、その『コラード神父』こそ、フランチェスコ教皇の右腕、クライェウスキー枢機卿( ええ!?)だったのです。(タイトルの巨大建造物がSpin Time Labs占拠スペース) Continue reading
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難民の人々を巡る混乱とプロパガンダ戦、2019年イタリア、そして欧州はどこへ向かうのか
緊張に満ちたイタリアの政治状況も、時間が経つにしたがって「少しは沈静化するかもしれない、いや、そうあってほしい」と淡い希望を抱いていましたが、今年5月の欧州選挙が近づくにつれ、過度にショー・アップされた『同盟』、やや控えめな『5つ星運動』によるプロパガンダの応酬で、政治はむしろ過激な混乱に傾いています。さらに、政府が醸すファッショな空気に断固対抗するアンチファシズムのムーブメントもいよいよ活発化、野党議員をはじめ、さまざまな市民運動、アソシエーション、NGOネットワークの結束が広がり、社会は大きく分断されています。『ファシスト』という、イタリアにおいては、本来デリケートなはずの言葉がメディアの見出しに踊り、たとえば、マテオ・サルヴィーニ副首相を批判する新聞記事やSNSのコメント欄は攻撃と侮辱に溢れかえっている。これはちょっと前のヒューマンなイタリアでは考えられなかった状況です。 Continue reading