「マフィア」という言葉は、「ピッツァ」や「スパゲッティ」同様、ほぼ世界中に知れ渡るイタリア語のひとつです。もちろんイタリアに、マフィアという名の特定の犯罪組織が存在するわけではなく、資本、権力と密に繋がる、あるいは権力そのもの、というケースもある、複雑な犯罪・違法システムを指す象徴的な名称だと認識しています。イタリアの『鉛の時代』を調べると、たとえば1970年、黒い君主と呼ばれるユニオ・ヴァレリオ・ボルゲーゼのクーデター未遂の影に「コーザ・ノストラ」が現れたり、1978年の『アルド・モーロ事件』に「ンドゥランゲタ」、あるいは「バンダ・デッラ・マリアーナ」が現れたりと、マフィアと時の政治権力の繋がりが強く疑われる現象に遭遇します。さらに92年、「コーザ・ノストラ」による『ジョバンニ・ファルコーネ検事爆破事件』『パオロ・ボルセリーノ検事爆破事件』、93年にローマ、フィレンツァ、ミラノの爆破事件が起こるわけですが、テロを使って国家権力と対等に交渉した、そもそもマフィアと呼ばれる犯罪組織、そのネットワークがいったいどのような環境で生まれたのか、まず、その起源を調べることにしました。 Continue reading
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タブーにも果敢に挑み、暴き尽くす、イタリアのジャーナリストの『受難』
イタリアの人々は、主要メディアの報道に対して、かなり不満を持っているようではありますが、外国人であるわたしには、イタリアのジャーナリズムには「禁忌となるテーマ」が、ほぼ存在しないのではないか、という印象を持っています。闇のなかに埋もれ語られずにいた「不都合な真実」に光をあて、徹底的に暴き尽くし分析する、なかなか気骨のあるジャーナリストがイタリアには多くいて、スクープのたびに国じゅうが大騒ぎになることも少なくありません。 Continue reading