政治力という観点からは、もはやその権威は消滅しつつあるように見えたシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相の訃報が流れた瞬間から、TVを含め、あらゆるすべてのメディアがベルルスコーニ一色に染まったことには、正直、非常に驚きました。しかも、生前のあらゆるスキャンダルと失言、暴言、さらには70件もの脱税、汚職、未成年売春などに関する裁判、過去のマフィアとの親密な関係の可能性を、誰もが知るところであるにも関わらず、その評価のほとんどが「時代を牽引したスーパー・シルヴィオ」という称賛であり、過去のスキャンダル、違法行為、特にマフィア関連の事象に詳しく触れたメディアは、主要紙以外の2、3紙にしか過ぎません。世界でも指折りの大富豪であるベルルスコーニ元首相が、支持者にとっては確かにカリスマではあっても、国営放送Raiを含め、所有する民放局以外のTV局、新聞及び各種メディアに、これほどの影響力を持っていたとは想像しておらず、多少興醒めした、というのが率直なところです(タイトル写真は、Il Foglio紙に掲載された写真を加工しています)。 Continue reading