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Tag Archives: シチリア

ラッキー・ルチアーノ以降、戦後イタリア「コーザ・ノストラ」の激変と巨万の富

現代のイタリアにおいては、潜伏中の大ボスが捕まったり、いまだ真相が明らかにならない過去の重大事件の断片が、ときおり浮上する以外、ほとんど「コーザ・ノストラ」の名を聞くことがありません。しかしながら「コーザ・ノストラ」は、「近代マフィアとともに構築された」と言われるほど、戦後から90年代初頭にかけてのイタリアの歴史に、その痕跡と深い傷を残しています。しかも「コーザ・ノストラ」が連続して起こした1992年から1993年にかけての重大事件の真実は過去に置き去りにされ、『鉛の時代』に起こったあらゆる事件と、いわば「同質」の秘密に覆われたままなのです。というか、「これが真実であろう」と推測できる数々の情報がありながら、確実な証拠が見つからず、現在も検察による事件の再捜査が繰り返されます。それらの重大事件に言及するのはもう少し先の項になりますが、まず、第2次世界大戦以降の「コーザ・ノストラ」の発展過程、政治、および公権力との関係、マフィアを巡る検察の闘いを追うことで、事件の背景が浮き彫りになるのではないか、と考えています。

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マフィアの起源を探して19世紀、ガリバルディのイタリア統一前後、映画『山猫』のシチリアへ

マフィア」という言葉は、「ピッツァ」や「スパゲッティ」同様、ほぼ世界中に知れ渡るイタリア語のひとつです。もちろんイタリアに、マフィアという名の特定の犯罪組織が存在するわけではなく、資本権力繋がる、あるいは権力そのもの、というケースもある、複雑犯罪・違法システムを指す象徴的な名称だと認識しています。イタリアの『鉛の時代』を調べると、たとえば1970年、黒い君主と呼ばれるユニオ・ヴァレリオ・ボルゲーゼのクーデター未遂の影に「コーザ・ノストラ」が現れたり、1978年の『アルド・モーロ事件』に「ンドゥランゲタ」、あるいは「バンダ・デッラ・マリアーナ」が現れたりと、マフィアと時の政治権力繋がりが強く疑われる現象に遭遇します。さらに92年、「コーザ・ノストラ」による『ジョバンニ・ファルコーネ検事爆破事件』『パオロ・ボルセリーノ検事爆破事件』、93年にローマ、フィレンツァ、ミラノの爆破事件が起こるわけですが、テロを使って国家権力対等交渉した、そもそもマフィアと呼ばれる犯罪組織、そのネットワークがいったいどのような環境で生まれたのか、まず、その起源を調べることにしました。 Continue reading

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