時代とともに変遷を続けるイタリアの「コーザ・ノストラ」は、戦後長い期間、内実を関係者以外に決して漏らさない上、警察、検察という当局者たちの一部までが「マフィアは人々が作った伝説に過ぎない」、と口を揃えるほど隠され続けたシチリアのタブーでした。その、マフィア最重要コードである「沈黙の掟(オメルタ)」と、マフィアに支配され、抑圧された人々の静寂が崩れることになったのは、パレルモ裁判所の司法教育局調査裁判官であるロッコ・キンニーチのアイデアから、気鋭の検察官、カラビニエリ、機動隊のグループ「プール・アンチマフィア(反マフィア特別捜査本部)」が結成されてからです。姿を見せないまま際限なく獰猛になり、非道な復讐に明け暮れ、片っ端から邪魔者を血祭りにあげる「コーザ・ノストラ」を追いかける「プール」の検察官たちの、文字通り命懸けの捜査は、ブラジルに逃亡していた大物ボス、トンマーゾ・ブシェッタという最強の協力者を得ることになります。その捜査の中核となった検察官ジョバンニ・ファルコーネとブシェッタの信頼関係が、史上はじめて、総勢475人の逮捕者を出した「マキシ・プロチェッソ(大裁判)」として結実するのです。 Continue reading