2020.2.20 前触れなく訪れた新型コロナウイルスの拡大、ファイト、イタリア!

Eccetera Società

3月13日

もはや比喩ではなく、グローバルな『戦争』がはじまった、と考えた方がいいかもしれません。

もちろん敵はウイルスなのですが、その見えない敵に過剰反応。恐怖バイアスで市場がヒステリーを起こし、世界経済を揺るがしたかと思ったら、米国の『緊急事態宣言』と500億ドルの緊急拠出で一気にダウが跳ね上がり、毎日異常な動きを見せている。欧州においては、もはやイタリアだけがレッドゾーンというわけではなく、スペイン、ドイツ、フランスが、イタリアと同程度の勢いで感染者を増やしています。

もちろんわたしはイタリア政府の決断を信頼していますし、「市民それぞれが責任を持って現状に対応してほしい」というコンテ首相とマッタレッラ大統領の言葉に感銘を受けました。それを確認した上、のことですが、よく考えてみると、突然のの侵略で、恐怖に打ちのめされると同時に戦う決断をし、あっという間にタスクフォースが形成され、前線(北部イタリアの医療機関)では毎日激しい攻防戦が繰り広げられている。それはまさしく戦争に違いありません。

その戦争において、なかなか光明が見えない困難な戦況に、政府と国民が情報を共有しながら「一致団結」し、それぞれが持ち場について臨戦体制(われわれは、それぞれ家で自主隔離しているだけですが)に入ったわけです。たったの3週間の間に、イタリアに暮らすわれわれは、あらゆるフィジカルな自由を失い、家で待機するだけ、というありえないスピードでライフスタイルそのものが変わった。

なるほど、「戦争というのはこういう風に、日常からはじまっていくものなのだ」、とハッとしたと同時に、実は非常に恐ろしいことだとも考えました。イタリアは現在、6ヶ月の『緊急事態宣言』下にあり、首相、閣僚会議がすべての国家衛生緊急事における権限を握っています。家を出て、フラッと行先を決めずに散歩に出て、たまたま会った友人たちと立ち話しただけで罰金逮捕されるという状況です。「集まる」行為はすべて禁止されているからです。

たまたま現在、イタリアの首相、大統領が成熟した倫理観を持ち、良識的でもあり、新型コロナウイルスの脅威に関する、あらゆるすべての情報が包み隠さず共有されるからこそ、国民(わたしは国民ではありませんが)も安心して采配を委ねることができているわけですが、もし、トップが非常識で無能、ただ強権的で独裁的なだけであったら、と想像するだに背筋が寒くなります。この緊急事態時がマテオ・サルヴィーニが内務大臣だった1年前でなくて、本当に幸運でした。

いずれにしても新型コロナウイルスは、あと2、3週間のうちに、かなりのスピードで欧州全域に広がるとみなされています。WHOによると、この状態は、少なくとも6月ぐらいまでは続くだろうと予想されていますが、あと3ヶ月と考えるだけで、軽い目眩を覚えるとともに、だいたい本当に終わりが来るのだろうか、という不安も湧き上がる、というのが正直なところです。

それでも、中国の新型コロナの専門医師団が応援に駆けつけた(3月13日、夜)ところですから、前向きに、この自主隔離時間を有効に使いたい、と考える所存です。

さて、今日の国家市民保護局とISSのプレスでは、「先週のウイークエンドに、学校が休みになったことをいいことに、多くの人々が、法令で禁止されているにも関わらず海やスキーに出かけたり、モヴィーダで騒いだりした結果が、(潜伏期間を4日から7日と考えると)、今週末に出ることになるだろう。おそらくイタリアの中部、南部多くの感染者が出る。そうならないことを願うけれどね」、とビクッとするような発言がありました。

さらに8日に北部が全国に先駆けて封鎖された際、駆け込みで多くの人々が中部、南部に流れており、その中には潜在的な感染者もいるであろうことが示唆されているため、今後の成り行きが心配になります。医療施設が北部に比べて脆弱な中部、南部での感染者の増加は、イタリアの医療システムにおいて非常に危険です。新型コロナを、決してなめてはいけません。

また今日は、世界で亡くなった方々の25%がイタリアに集中することになってしまいました。さらにWHOが「欧州が新たなレッド・ゾーンとなった」と宣言した日ともなりました。

良いニュースは、といえば。ECBのラガード総裁がイタリア国債の前倒しの購入を約束。欧州連合のフォン・デル・ライエン委員長がイタリアの緊縮を解除することを明らかにして、ミラノ市場-17%の下落から、+7%となったことでしょうか。

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。昨日と変わらず、亡くなる方が非常に多く、今日だけで250人もの人が亡くなっています。また、今日はそもそも疾患を抱えていた39歳の若い罹患者が、2人亡くなったそうです。なお、「医療が崩壊し、人工呼吸器が不足しているため、60歳以上の重症患者には人工呼吸器を使っての治療をできない」という告発者と名乗る人物のオーディオとともに、悪意に満ちたフェイクニュースが流れ、日本のSNS上でも「イタリアの医療崩壊!」とセンセーショナルに流れていましたが。そんな事実はまったくありません。このフェイクニュースについては、北部の病院の集中治療室長が、ついに訴訟を起こす運びとなっています。多くの医療従事者が24時間体制で不眠不休で戦ってらっしゃるときに、わざわざオーディオまで用意してフェイクを流すとは、イタリアの機能不全を演出する政治的な悪意すら感じる、怪しい動きです。

3月14日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。まだまだ感染者数が減少する様子は見えず、総感染者数は、21157人、とついに2万人を超えました。やはりロンバルディア州の状況がなかなか改善せず、1日で1865人も感染者が増えています。ただ、今日は回復者が557人と大幅に増えたことには希望を抱きました。ロンバルディア州の保健評議委員から、集中治療室のベッド数が危機を迎えていることが発表されたことは心配です。

 


 ※土曜日の正午、医療の現場で不眠不休で戦うお医者さん、看護師さんを讃え励ますために、イタリア全国で一斉に拍手が起こりました。金曜の夜からは、バルコニーで歌ったり踊ったり。オペラからヒップホップまで、ミュージック・フラッシュ・モブが繰り広げられています。楽しく戦うイタリアの人々は強い。窓を開けると、向かいの人々と手を振って合図しあったり、近所の絆も強くなりました。

3月15日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。全国完全封鎖から4日目、コンスタントに総感染者数は増加しています。やはりロンバルディア州が最も感染状況が際立っており、全国で亡くなった方368人のうち252人がロンバルディア州で亡くなっている。昨日危機を迎えていた北部の病院の集中治療室のベッドは1日で用意され、自転車操業でもなんとか崩壊には至ってはいません。他の国と比べて非常に高い致死率については、まだ分析できる状況ではないとISSに判断され、詳細の説明はさらに時間がかかるということでした。なお、北部が封鎖した先週の日曜、南部に押し寄せた人々の影響か、じわじわと中部、南部の感染者の数が増加しています。現在イタリアは、市民一丸となっての「ひきこもり生活」というわけですが、まさかイタリアで、ひきこもりが礼讃される日が来るとは思ってもいませんでした。遅い朝、窓から外を眺めていると、歩いていたカップルが早速カラビニエリに尋問され、身振り手振りの抗議も虚しく、罰金の切符を切られたようです。このように、法令が発令されて4日の間に、すでに2万人が告発されました。恐るべし、ソフト戒厳令。イタリアの人々がこれだけ真摯に、しかもバルコニーを舞台に歌あり踊りあり、温かく明るく励まし合って戦っているのなら、必ず夜明けは来るはずです。

 


 ※今日の午後、フランシスコ教皇は砂漠と化したローマを、まるで巡礼のように歩いて、サンタ・マリア・マッジョーレ教会、サン・マルチェッロ教会に祈祷にお出かけになりました。サン・マルチェッロ教会は火事でも焼け残った15世紀の木製の十字架が残っており、街をペストから守ったという言い伝えがあるそうです。教皇の祈りが通じますように。

3月16日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。亡くなった方が349人と、変わらず多くいらっしゃいます。ただ、総感染者数の上昇カーブに少し緩みが出てきたかもしれず、これがトレンドになるといいが、と思っていたところ、「楽観視はできない」と、感染症のエキスパートからざっくりコメントが入りました。今日は緊急事に拠出される予定の250億ユーロが『Cura Italia (イタリアの保護)』と名づけられ、法令化されることが発表されています。さらに政府が医学部新卒者1万人を緊急に雇用。最も気になる今後の感染の拡大については、「どれほどの潜在感染者が存在するか、まったく推定できない」といまだ未来が全く見えない状況です。また、不足が強く懸念されている北部イタリアの集中治療室は、広大なミラノ見本市内に、なんと1週間で設置されるそうです。ちょっと気になったのは、症状のある人だけの検査を推奨していたWHOが、「とにかく検査、検査、検査」と繰り返し、ずいぶん方針が変わったことに、多少の違和感を覚えたことでしょうか。なお韓国のウイルス封じ込めのアプローチは、イタリアでも絶賛されました。

 

il sole 24 ore紙より。感染の国内状況の詳細を、わかりやすく可視化できるサイトです。https://lab24.ilsole24ore.com/coronavirus/  

3月17日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。今日一日で、2989人の方の陽性が明らかとなり、345人の方が亡くなっています。ロンバルディア州だけで総感染者が16620人となり、1日で220人の方が亡くなることになりました。人口が約12万人ベルガモで約4000人が感染、約19.5万ブレーシャ3300人の方が感染、と崩壊寸前の綱渡りの医療活動が続いていますが、ロンバルディア州には明日から中国、米国からの医師が応援に駆けつけるということです。また、ヴェネト州、トスカーナ州は早急に積極的な検査をはじめる意向を示し、潜在的感染者をもスクリーニングすることが発表されました。ただ、感染が拡大するうちに、医療関係者の感染、若い人々の重症化が顕著になっていることには大きな懸念を抱きます。今日のプレスによると、ここ数日メディアで話題になった、症状の緩和に効果があると見られる薬(関節リューマチ治療薬)の試験的投与が複数の病院で行われており、エキスパートの分析、リサーチが木曜から開始されるそうです。なおジェノバ大学の伝染病学、システム情報工学チームの試算によると、感染の増大は3月23日から25日あたり頂点を迎えるのではないかと見られていますが、頂点を迎えても、感染の威力が弱まるわけではないので、今まで通りの法令が継続されることになるでしょう。ところでヴァチカンが、この緊急事に路上で暮らさなければならない人々のために、それぞれの教会に門戸を開くよう強く呼びかけていることには希望を持ちました。また、あっという間に欧州のそれぞれの国が封鎖され、シェンゲンが30日間停止されましたが、各国ともに、ほぼ欧州連合の緊縮政策は反故として、巨額の特別緊急予算の拠出を発表しています。互いが互いを縛り合わないこの状況を機に欧州が相互に協力しあえる関係が築けるのではないか、とも楽観もしています。

3月18日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。

正直、直視することが難しいデータとなってきました。

18日も総感染者数は緩むことなく増加し、1日で亡くなった方が475人。最も厳しい時期の中国でもなかったような数字を見ることになった。ISSからは「なぜこれほど多くの方が亡くなったのか、カルテを見ながら分析が必要」という発言とともに、亡くなった方の48.5%が3つ以上、25.6%が2つ、25.1%がひとつ病気を抱えていらっしゃり、0.8%の方が健康に何の問題もなかったことが発表されています。亡くなった方が共通に抱えていた病気は、心臓発作、糖尿病、悪性腫瘍、高血圧などで、平均年齢は80歳。男性のほうが致死率が高く、女性は30%にとどまっています。

また現在は「明らかに北部イタリアでの感染の拡大が顕著でも、南部イタリアが安全というわけでなく、幻想を抱くべきではない。厳格に法令(それぞれの自宅隔離)を守らなければ、事態は悪化する」とISSからは釘を刺されました。実際、ラツィオ州でも今日1日で100件の陽性者が出て、感染者の上昇カーブが跳ね上がりそうです。

それでもWHOはイタリアが短期間で集中治療室を準備したことを『奇跡』と称賛しています。

なお、感染の拡大が止まらないロンバルディア州では、まだ多くの人が屋外でスポーツをする、あるいは地下鉄が混雑するなど、いまだに街に出かける人が後を絶たず、フォンターナ州知事は「集中治療室が危機を迎えている今、さらに厳格な法令を準備しなければならなくなる。外に出かけないで家にいるように」と、人々に強く訴えかけています。確かに家に閉じ込められ息苦しい毎日が続いていますが、24時間体制の医療の現場は、予想もしていなかったたくさんの死と向き合う戦場です。われわれもしっかり協力したい所存です。

今日、ロンバルディア州のベルガモではを運ばなければならないほど、たくさんの方が亡くなっています。ついこの間まで、バールでつまらない冗談を言って笑ったり、カード遊びをしていた街の顔が次々と、感染の危険から家族に見守られることなく逝き、お葬式もできない状況が続いている。「ワイフに愛してるよって言っといてくれ」と医師に遺言を託した方もいらっしゃるそうです。

 

年齢別の致死率。il sole 24 ore紙より。3月17日のデータから。https://lab24.ilsole24ore.com/coronavirus/

 

3月19日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。

亡くなった方の数が中国を抜いて、イタリアの犠牲者の総数は3405人となりました。たったの1ヶ月でこれほどの犠牲者が出ることになるとは誰も予想できなかったと思います。しかしながら、確かに今は最も暗い、先が見えない長い夜を過ごすイタリアですが、来ない夜明けはありません。

今日は、中国からキューバまで、世界中から300人もの医療関係者が、続々と応援に駆けつけました。さらに欧州中央銀行(ECB)が、欧州ウイルス対策として7500億ユーロの流動性を持って各国の国債を買い支えることを約束し、イタリアの国債スプレッドも250から200までぐんと下がって市場も落ち着いています。

また、医療物資が不足する各地の病院へは、大企業、海外、アーティストたち、ヴァチカンから、多額の寄付が集まっている。今後、市民が一丸となったひきこもり生活はさらに延長され、外出規制がますます厳しくなりそうですが、現実を直視しながら、われわれも臨戦態勢で力強くひきこもりたいと思います。いずれにしても イタリア・モデル世界が追随していることは嬉しいことです。

なお、今週末あたりに総数が頂点を迎えるだろうと予想されていたにも関わらず、エキスパートの予想が4月2日から12日の間、と変更されたことには、ちょっぴりがっかりしたことも付け加えたいと思います。

We shall overcome.

3月20日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。

ここまで来ると、腹が据わってきます。持久戦になると思われますが、どんと来い!という気持ちにもなってくる。日本のyahooニュースなどを見ていると、センセーショナルな見出しで、「どれほどイタリアがひどい状況」か、「医療崩壊!」という、イタリアの医療の最前線で頑張っている医療関係者不眠不休の尊い働きを踏みにじるような、欧米日発信のネガティブニュースが躍っています。

しかしそんなことを書いている外国人ジャーナリストには「おたくの国はどうなんですか? 件のジョンズ・ホプキンス大学のCovid-19世界マップはご覧になっているのでしょうか」と言いたくもなる。しかも、いまやフェイクニュースだったと断定され、告発された内容の記事を引用しているメディアがいまだにあることには呆れ返ります。

欧米ではじめて新型コロナが拡大した北部イタリアが、そもそも何の準備もなく、いきなり攻撃を受けたにも関わらず、ここまで持ち堪えていることは、WHOが称賛するように『奇跡』なんです。犠牲になった方のご遺族の多くが悲しみに暮れながらも「病院の人々は本当に親身になってもらった」とも発言している。

医療の最前線にいらっしゃる人々の崇高な志には、毎日胸を打たれますが、彼らの窮状に7000人ものボランティアが駆けつけているそうです。


 ※欧州連合は、Patto di stabilità(予算規則条約)の解除を発動し、各国政府が人々、企業を支援するため、経済政策に邁進できるようにしたそうです。ありがとう、フォン・デル・ライエン委員長。

3月21日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。open.onlineより。ロンバルディア州の総感染者数が跳ね上がり、1日で546人の方が亡くなるという、非常にハードな1日でした。イタリア全国封鎖から10日。増加曲線はなかなか緩まることがありません。また、今日から散歩やジョギングをする際は、グループではなく、ひとりで、自宅周辺のみ、となりました。もちろん、明確な理由がない外出は例外なく違法とみなされます。ローマでも数日前から公園や子供達の遊技場は閉鎖され、メトロ、バスも夜9時で終了です。さらにこの日の午後11時過ぎに、スーパーマーケット、薬局、交通網、銀行など日々の生活に必要不可欠なサービス以外の生産活動に関わる工場、オフィスはすべて閉鎖、あるいはテレウォークに切り替えられることがコンテ首相より発表されました。

 

3月22日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。open.onlineより。今日も多くの方が亡くなりました。ほんの少しだけ総感染者数曲線が緩むことになったことが、多少ポジティブな傾向と言えるかもしれません。特にロンバルディア州の感染者の方が半分に減ったことには希望を持ちます。来週はイタリア南部の感染者数の増加が予測され、ローマ市も遂に感染者が1000人を超えました。またローマ市近郊のフォンディ市ではクラスターが確認され、例外なく出入りできない完全封鎖となっています。フォンディにはイタリア有数の農産物市場があり、ローマだけでなくイタリア全国の野菜の多くが、この市場で賄われています。市場そのものは閉鎖されないそうですが、開かれる日が制限されることになったため、野菜が幾分品薄になるかもしれません。

 

3月23日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。毎日数字を見るのが怖い、たくさんの方々が亡くなる戦争です。前線にいらっしゃる医療関係者の方々には心から敬意を表したい。イタリアの戦後を創ってきた、国の財産でもある多くの高齢者の方々をはじめ、医師をはじめとする医療関係の方々が多く亡くなっています。Covid-19がこれほど攻撃的なウイルスであることを、1ヶ月前までは誰も予想していなかった。1日も早くこの状態から脱しようと誰もが家に引きこもり、ローマの夜がシンと張り詰めています。それでも昨日、今日と2日続けて、総感染者数の増加が緩やかになりました。特に北部の状況が大きく改善していることには一息つく思いです。

3月24日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。北部イタリアの総感染者数の増加は、ここ数日減少の傾向にありますが、変わらず多くの犠牲者が報告され、重たい1日となりました。また、全国の総感染者数も減少傾向ではあっても、予告された通り、やはり南部の感染者がじわじわと増加しているのは心配です。現在感染が確認された方々の潜伏期間を考えれば、14日程度遡ることになりますから、3月10日の全国ロックダウンまでに感染された方が、そろそろ出揃う頃かもしれません。したがって今後確認される感染者の多くは、封鎖後にウイルスに感染した方々の数になるはずです。なお、ローマをはじめ各地の介護ホーム修道院で感染が広がっていることは悲しいことです。今日は人の移動、会社、オフィスの閉鎖に関する規制がさらに厳しくなり、罰金の額が跳ね上がることになりました。この法令は7月30日まで有効ですが(ええ!と思わず声を出しました)、必ずしもそれまでこの状態が継続するわけではないことがコンテ首相から発表され、少しホッとしたところです。

 

3月25日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。open.onlineより。総感染者数は変わらず減少傾向にありますが、それでも1日に5000人以上の新しい感染者が確認されています。ただ、回復者が1000人を超えたのはポジティブなニュースでしょうか。今日は国家市民保護局の総帥アンジェロ・ボレッリが発熱を訴え、感染の疑いで自主隔離となりました。副総帥が代行し、恒例の18時のプレスでデータの発表をしましたが、やはり見慣れた顔の市民保護局の総帥が感染の疑いがあるという事実は、多少不安をかき立てます。今日も前線で多くの罹患者の治療にあたる医師が何人も亡くなり、今までイタリアは31人の医師を失うことになりました。北部の感染増加は半減していますが、ローマ以南の地方は少しづつでも確実に増え続けている。ローマでも、シチリアでも、クラスターの出現が確認され、ナポリでは集中治療室の数が限界に達しつつあると悲鳴が上がり、ヴァチカンの感染者も4人に増えました。夜に開かれた下院議会では、コンテ首相はさらに250億緊急拠出の可能性に言及しています。ロックダウン15日目、なかなかの持久戦です。#iostoacasa

 

3月26日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。昨日までは減少傾向にあった総数感染者数は、足踏みしています。さらに上の表には記載されていない亡くなった方の情報が、プレスの後に改めて発表があり、今日一日で712人の方が亡くなったことが明らかにされました。特にロンバルディア州、ベルガモ、ミラノの感染者が上昇したのは、検査数を増やしたからだそうです。この表から見ると、致死率が10%を超えることになりますが、やはり予想以上に感染者が拡大していて、検査をすることで感染者数が増えたのかもしれません。一方ヴェネト州が感染速度が遅くなっているのは、早い時期からの病床の確保、さらにドライブスルーの検査を導入し、先手先手で状況に対応したからだと思います。なお、ベルガモの市長ジョルジョ・ゴーリは、ISSによって認定された亡くなった方以外に、病院に運ばれることなく、急激に病状が悪化して自宅で亡くなった方が212人いらっしゃることをSNSで明らかにしています。つまり亡くなった方の数はさらに多いと言うことです。重い毎日ですが、われわれもさらに強い覚悟で状況に臨まなければなりません。ただ、昨日発熱して感染の疑いを持たれていた国家市民保護局の総帥アンジェロ・ボレッリの陰性が確認されたことには、幾分ホッとしました。昨日コンテ首相は500億ユーロの緊急拠出を発表しましたが、今日の夕方の欧州議会会議で、多少意見の食い違いが生まれているようです。決裂しないことを祈ります。

 

3月27日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。open.onlineより。今日は特別に重たい一日となりました。たったの24時間で969人の方がお亡くなりになるなんて、正直、間違いなのではないかと何度も見直した。今までにウイルスで命を奪われた方は全国で9134人となり、今日のイタリアは悲しみに包まれています。いつまでこんなことが続くのか。今日のプレスはいつもの国家市民保護局ではなく、監査役の方が開きましたが、今後もまだまだ辛い数字を見ることになるだろうことが示唆され、その言葉はずっしり堪えます。また、18時からはフランシスコ教皇が雨が降る空っぽのサン・ピエトロ広場で特別ミサを開き、犠牲者の方々、医療の現場にいる方々、今この時も市民のために働いている政府関係者や各州の人々、そして市民の生活を支えている人々のために祈りを捧げ、最後に Urbi et Orbi («Alla Città — cioè a Roma — e al Mondo»ーローマと世界)を祝福された。「神よ、わたしたちを嵐の中に置き去りにしないでください」教皇の祈りが神に届きますように。

 

(AFP) ラ・レプッブリカ紙より。

3月28日

 

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。open.onlineより。なかなかトンネルの出口は見えてきません。総感染者数は足踏みしているとはいえ、+5974人といまだに高い数字を保ったままです。犠牲者は1万人を超えました。ロックダウンがはじまってもう3週間になろうとしているのに、なぜ武漢のように状況が改善しないのか、さすがに今日のプレスではジャーナリストから「こんなにたくさんの犠牲者が出ているのにロックダウンをする意味があるのか」と質問が相次いだ。先日から発熱して感染を疑われながら、『陰性』の結果が出て、プレスに復帰した国家市民保護局のアンジェロ・ボレッリは「もしロックダウンがなければ、状況はさらに酷いことになっていたというエキスパートの試算が出ており、他国もイタリア・モデルに追随しています」と答えています。ジョンズ・ホプキンス大学のmapを見ると、スペインもフランスも英国も致死率がかなり高いように見受けられますが、イタリアは致死率がやはり10%近くある。2日前に致死率についてのISSのレポートが出ているので、読んでみようと思っています。

 

3月29日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。open.onlineより。ロックダウンの間に、サマータイムになってしまいました。寝ているうちに1時間時間が進み、朝起きた時には、すでに9時になっていて、騙されたような気持ちになります。今日のプレスでは、それほど総感染者数が減少したわけでも、犠牲者の方が減少したわけではなくとも、着実に新規の感染者の増加が少なくなりはじめていることに、一縷の希望を見出しました。ここ5日間の新しい感染者の増加率は、7.53%→ 8.27%→7.40%→6.91%→5.64%と上下しながらも、少しづつ下がっている。ただし、北部ではミラノ市、南部では、バジリカータ州、カラブリア州、アブルッツォ州、シチリア州で感染者がかなり増加しています。ロックダウンとなって約20日間、やはりその初期に、公園や海辺でスポーツをしたり、散歩をして、あちらこちらで人々が集まっていたことが問題視されていましたが(特にミラノで)、その結果が現在現れているのかもしれません。時々は温かい春の日差しが明るく街を照らす季節、封鎖疲れしたローマの人々が、封鎖が解かれたならば、すぐやってみたいことに『お散歩』をあげていましたが、まったくわたしも同感です。マスク、手袋、メガネと完全防備で、緊張してのお買い物はちっとも楽しくありません。それでも人がいないことをいいことに、近所の公園に住み着いて、いつの間にかどんどん増えていった緑色のインコたちが、我が物顔で悠々と、ナゾーネ(水飲み場)あたりで遊んでいるのを見かけると、なんだか嬉しくなります。木々の新芽が膨らみはじめました。

 

感染者数のトレンド。左が総感染者数、右が1日の感染者数。薄いピンクが現在陽性の方の数、緑が回復者の数、黒がお亡くなりになった方の数。il sole 24 ore紙より。

 

3月30日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。今日は総感染者数の増加は4.1%と低くなった上に、回復された方が1590人と飛び抜けて多くなりましたが、やはり812人という亡くなった方の数には愕然とします。今朝起きると、志村けんさんの訃報がネットに流れていて、前回帰国した際にテレビでお見かけし、「やっぱりすごく面白い。磨き抜かれたナンセンスさが名人芸」と思っていたところだったので、悲しい1日となりました。イタリアはまだまだ暗いトンネルの中、手探りの日々が続いていますが、時々薄明かりが差すこともある。昨日アルバニアから、首相とともに30人の医師団が訪れ、「1991年の紛争の際、国を脱出した25000人の人々を受け入れてくれたイタリア、ブリンディジ市(プーリア州に恩を返したい」とエディ・ラマ首相が挨拶し、SNSにはイタリアの人々の感謝のメッセージが溢れました。ウイルスの災禍がやさしい絆を見せてくれる場面があります。

 

3月31日

引きこもっているうちに3月も終わりになりました。2月21日から数えると、40日間もイタリアはコロナ一色の毎日が続いているわけです。紆余曲折はありましたが、ここ数日は、総感染者数の増加が減少傾向にあり、新規感染者の増加率も全国で3.98%、ロンバルディア州が2.48%と格段に下がりました。ただ、やはり南部、ラツィオ州、カンパーニャ州、プーリア州、シチリア州は5%以上の増加率を見せています。亡くなる方が今日も837人と多く、増加率が落ち着きはじめても、素直に明るい気持ちにはなれません。さあ、明日から4月。1日も早く、犠牲者がゼロになることを祈りながら、がっつり封鎖生活に取り組みたい所存です。

 

4月1日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。イタリア全国の感染者増加率が4.52%と安定していますが、1日4782人と、やはり多くの方の新しい感染が確認されています。一方、回復した方は1日で1000人を超え、現在陽性の方は国内で80572人。今日も727人もの方が亡くなりました。ロンバルディア州知事が「検査数が多いと感染者数が増加する」と発言したように、検査数が多かったミラノの感染者が急激に増え、ミラノの総感染者数9522人と北部で最も感染が多かったベルガモを超えています。また、今日からさらに規制が厳しくなり、家族で散歩をする場合は、複数の子供がいる場合も、ひとりだけの子供を連れての自宅周辺での散歩に限られることになりました。同じくジョギング、ウォーキングの場合も、自宅周辺に限られます。

 

4月2日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。まだまだ楽天的にはなれませんが、感染者の増加率は4.22%と安定しています。ロンバルディア州の集中治療室に空きが出るほどの状態になったことは嬉しいことです。ただミラノの感染者が1万人を超え、ジェノバがあるリグリア州、トスカーナ州の感染者も多少増加気味です。また、やはり南部の感染もじわじわ増えています。プーリア州は7.93%、ナポリのあるカンパーニャ州が10.09%と増加率が高くなりました。なお、感染者の9.7%が医療従事者だという事実には、胸が痛みます。

 

4月3日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。数日前にピークが訪れた、という発表でしたが、総感染者数も、亡くなる方の数も少しも下がりません。新聞各紙ともに、「ピークは過ぎ去っていなかった」と失望した記事を載せています。

 

4月4日

左から州名、入院感染者数、集中治療室患者数、自宅隔離感染者数、感染者数、回復者数、死亡者数、総感染者数、PCR検査数。コリエレ・デッラ・セーラ紙より。やはり今日もピークのまま、なかなか減少へとは向かいませんが、集中治療室に空きが出るほど、回復者が多くなったことは嬉しいことです。

 

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