マテオ・サルヴィーニのオウンゴール!『5つ星運動』と『イタリア民主党ーPD』、ついに連立

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新政府誕生前夜

今になって思うなら、サルヴィーニは、最近とみに政府での発言力が増したうえに、ロシアゲート疑惑を厳しく追及するコンテ首相が目障りになり、とりあえず辞任させたのち、なんとか再び『5つ星』と寄りを戻そうと策を巡らしていたのかもしれない、などとも深読みしてしまいます。

一緒に政府を運営する間に、『同盟』『5つ星』双方の議員同士の友情というか、仲間意識も芽生えていたはずです。

いずれにしても就任時、『国民の弁護士』と自らを形容し、『同盟』と『5つ星運動』の仲介を担ったコンテ首相は、サルヴィーニの予想より、遥かに重要な人物となっていました。イタリア国内で高い人気を誇るのみならず、インターナショナルな外交の場でも厚い信頼を得、先ごろフランスで行われたG7では、かのトランプ大統領に至るまで高い評価を受けています。

蛇足ではありますが、トランプ大統領が、ホワイトハウスではマイク・ペンス副大統領とも会談した「欧州のリトルトランプ」サルヴィーニではなく、コンテ首相をわざわざ支持したことは、ロシアか、中東か、あるいは中国か、英国か、国際的な流れの何らかの潮目が少し変わったのか、それとも米国右派がサルヴィーニを完全に見捨てたか、と思える不自然な支持、と感じたことを付け加えておきたいと思います。

ともあれ、『5つ星運動』の「どうしてもコンテ首相を続投させたい、そうでなければ連立は考えられない」との条件を、PDはその評価の高さから、拒絶することができませんでした。しばらくの間は「前政府を引きずる名前を冠する首相は認められない」と頑張っていたPDが、コンテ首相の続投を遂に認めた時には、「これで大丈夫だろう」と安堵感が広がりましたが、『5つ星運動』はさらに、ディ・マイオを副首相として続投させることを要求してくることになります。

PDはその要求にはもちろん、「『5つ星運動』が推挙したコンテ首相の続投を認めた以上は、ディ・マイオの副首相を認めない。また、『同盟』と『5つ星運動』の契約政府のように、ふたりの副首相をたてる政府をPDは考えていない。副首相はPDからひとりだけ立てるべき」と反発しました。

この、次から次に「あれもこれも」とPDに要求を突きつけるディ・マイオの姿勢は、交渉において優位に立とうという、単純な政治的威嚇のみならず、水面下では『同盟』との連絡が途切れることがなかったわけですから、どちらが『5つ星』にとって有利であるかを秤にかけるための、時間稼ぎだったのかもしれません。なお現在、組閣に着手したコンテ首相は、解決策として副首相を置かない、というモデルを考慮中だそうです(そして実際、新内閣に副首相は存在しません)。

重ねて、27日の夜更け、『5つ星』は「形成された新政府を9月2日からの週に、『ルッソー』(『5つ星運動』のダイレクトデモクラシー・プラットホーム)で決を取ることを表明。再びPDとの間に、さらなる緊張が走ることになりました。もちろん、『ルッソー』は『5つ星』にとって重要なダイレクト・デモクラシーのプラットフォームではありますが、決を取るのであれば、大統領コンサルテーションに臨む以前実施すべきであり、大統領に任命された首相が組閣したのちに決を取るのは本末転倒です。

というのも、すでに組閣された政府をジャッジすることは、イタリアの憲法と『ルッソー』の間にバッティングが起こり、また大統領及び首相権限をも侵害する可能性があるからです。当然大統領府からも苛立ちが表現されましたが、実際、コンテ首相が組閣した政府に『NO』というジャッジが出たら、『5つ星』はどうするつもりなのか、何が起こるのか予想がつきません。わたし自身、ダイレクト・デモクラシーそのものには共感がありますが、このような場面に『ルッソー』で決を取ることは『5つ星運動』にとっても、あまり有益とは考えられません。

ともかく29日の朝、コンテ首相はマッタレッラ大統領に正式組閣を任命され、うまく事が運べば、子供たちの学校がはじまる初秋には、教育にも力を注ぐ『5つ星運動』とPDによる新しい政府が形成されることになります。また、新政府は『同盟』と交わされたような契約に基づく政府ではなく、Omogenio(それぞれが政治的に同質で緊張のない)で斬新な政府が目標とされ、前政府とはまったく違う形の組閣になりそうです。

そういえばコンテ首相は、「打倒、ベルルスコーニ」をスローガンに一丸となった、『オリーブの木』のロマーノ・プロディをも意識しているという報道もありました。

いずれにしても、ここに至るまで次々に起こる『5つ星運動』とPDの衝突、行き違いで、失望と疑惑の連続でしたが、ようやく組閣が実現される運びとなり、内務大臣の座を利用してやりたい放題の憎悪プロパガンダ、弱い者虐め政治に終始した、マテオ・サルヴィーニに「あばよ!」と言えるなら、個人的に大変しあわせです。

何が起こるか分からないイタリアですから油断は常に禁物ですが、サルヴィーニの常軌を逸した『非道政治』を封じ込め、右や左に翻弄されることのない『善良で人間的な』政治を、(樹立されるであろう)新政府には期待したいと思います。

また、『5つ星』の創始者ベッペ・グリッロからは「すべての大臣は『5つ星』、PD以外の、テクニカルな外部人選で」という難題が提案され(おそらく副首相問題に絡む解決策として)、早速組閣に関する問題が浮上していますし、コンテ首相は、これからも数々の障害に見舞われると思いますが、すべてが早期に解決することを祈ります。

なにより2022年には大統領選が控えているため、極右に都合のいい人物にその座を渡すようなことのないよう、ちょっとした喧嘩は想定内でも、長期安定した政権を形成することが最重要課題です。

 

サルヴィーニの不信任案を出し抜いて、自らコンテ首相が辞任した日の新聞には、「おしまい」「リーダーのハラキリ」などのタイトルが新聞に躍った。

▶︎現在に至るまでの混乱の経緯

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