1978年に起こった『アルド・モーロ誘拐・殺害事件』は、イタリアの「ダラス」、あるいは「9.11」として、イタリアの近代史における大きな転換点となった事件と言われます。今のイタリアからはまったく想像できない、常軌を逸したテロが、凄まじい勢いで荒れ狂った『鉛の時代』。その悲劇は55日もの間、イタリアの社会を恐怖と緊張に陥れ、人々を絶望の淵に突き落としました。のち、犯人たちは逮捕され、司法で裁かれましたが、事件の詳細の辻褄が合わず、現代に至るまで全方向から調査が継続されるとともに、アルド・モーロという人物が、イタリアにとって、どれほど重要な人物であったかが、繰り返し語られることになります。その事件の重大さを理解するため、アルド・モーロとはいったい誰で、何をしようとしていた人物であったかを、まず知っておきたいと思います。 Continue reading