参考 : ジョルジャ・メローニ新政権 : 首相の下院議会における初スピーチが示唆するイタリアの方向性

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メローニ首相スピーチ前半

●大統領、そしてマリオ・ドラギ前首相、連立する中道右派政党への謝意。

ここで明らかになったのは、今回のスピード組閣の裏には、やはりマッタレッラ大統領の大きい助けがあったのだ、ということでしょうか。また、「われわれ『イタリアの同胞』が唯一の野党勢力だったにも関わらず、(ドラギ前首相が)、迅速に、平穏に政権を譲渡するために最大限の努力を払ってくれた」、と前政権からは、引き継ぎのための手厚い配慮があったことをも強調しました。

今回、難民の人々を巡る対応で、フランスとの間に大きな問題が起きてしまい、これから両者の関係がどう発展するかは未知数ですが、この時点では、新政府が基本的にドラギ政権の経済政策、ウクライナ支援、ロシア制裁という欧州連合の方針に従う外交政策を引き継いだことが確認されました。なお、今までフランスとの強固な友好関係を築く努力を惜しまなかったドラギ前首相は、現在のフランスとイタリアの外交紛争に驚愕しているそうです。

イタリア初の女性の首相であることの重圧を語り、イタリアの歴史において、偏見を恐れず階段を登り、ガラスの天井を破ってきた女性たちの名前を列挙して、彼女たちへのリスペクトを表明。

ちなみにここで名前が挙げられたのは、リソルジメントから現代に至るまで、旧態依然とした男性社会の壁を打ち砕いてきた女性たちでした。◯クリスティーナ・トリヴルツィオ(リソルジメント時代、パリに芸術家たちが集まるサロンの中心となった女性)、◯ロザリエ・モントマッソン(サルデーニャ出身の愛国者。女性で唯一千人隊に参加)、◯アルフォンジーナ・ストラーダ(女性初の自転車走者)、◯マリア・モンテッソーリ(世界的に有名な教育改革者)、◯グラツィア・デレッダ(ノーベル文学賞受賞の詩人)、◯ティーナ・アンセルミ(元パルチザン、イタリアで初の女性大臣に任命)、◯ニルダ・ロッティ(初の女性下院議長)

◯リタ・レーヴィ・モンタルチーニ(ノーベル医学賞受賞)、◯オリアーナ・ファラーチ(現代でも高く評価される女性で初の特派員となったジャーナリスト)、◯イラリア・アルピ(TG3のジャーナリスト、派遣先のソマリアで殺害される)、◯マリア・グラツィア・クトゥリ(アフガニスタンで殺害されたジャーナリスト)、◯ファビオラ・ジァノッティ(物理学者、ジュネーブの欧州原子核研究機構局長)、◯マルタ・カッタビア(女性初の憲法裁判所長)、◯エリザベッタ・カセラーティ(女性初の上院議長)、◯サマンタ・クリストフォレッティ(女性初の国際宇宙ステーション司令官)、◯キアラ・コルベッラ・ペトリッロ(胎内の子供を守るために治療を拒否して、28歳で亡くなった女性)

Cristina Trivulzio(クリスティーナ・トリヴルツィオ) 1843 Henri Lehmann

●今回の選挙で棄権が多かったことに対する遺憾の意を表明。この政府は選挙による純粋な政治政府が樹立されなかった11年を経て(官僚テクニカル政府が続いて)、樹立された政府だ。今後5年間、政党の利益より、イタリアという国の利益を優先することを約束する。すべてのイタリア人に、より大きな自由、正義、発展、確かな未来を保障することが目標だ。特定の権力者や一部の市民に理解を得られないとしても、引き下がらず、勇気を持って実行する。民主主義とは、自分の主張とは違う政治を受け入れなければならない政治形態だ。好ましくないからといって、いかなる手段使ってでも阻止する、という流れには決して身を任せない。

民主主義においては当たり前のことを、こうしてわざわざ強調しているのは、いかなる手段を使ってでも阻止したくなるような、勇気ある法律が、これから発令される可能性がありうる、ということの宣言なのでしょうか。また、ひとりの異邦人として、イタリア人ではない者たちには自由、正義、発展、確かな未来は保証されないのか、という疑問を抱いたわたしは、被害者意識に多少感化されているのかもしれません。

●政府が樹立した際、この政府を監視する、という外国勢力(フランス)があった。イタリアを監視する、という言葉はわたしや政府に向けられた言葉ではなく、イタリアの市民を軽視している(野党を含め)ということだ。イタリアは欧州連合、NATOの創設国であり、G7のメンバーでもある。さらに歴史を遡ればギリシャとともに、欧州の古典であり、ユダヤ・キリスト教がもたらした自由、平等、民主主義を基盤とする西洋文明の発祥地だ。われわれはヨーロッパ全体の守護聖人であるイタリア人、サン・ベネデットを受け継いでもいる。

確かにフランス政府から、『右派連合』が選挙で勝利した際、「イタリアの人権状況を監視する」とのメッセージが発せられたことには、内政干渉なのではないか、と驚きましたが、難民の人々を救助するNGO船を巡る諍いが勃発し、フランスは本当にイタリアを監視するつもりだったことが明らかになりました。また、イタリア人の誇りを呼び戻すために、わざわざ西洋文明の発祥地だ、と分かりきった歴史を掘り返す壮大な文言は、ちょっと時代遅れだとも感じます。

●新政府を祝った欧州委員会、世界各国の首脳への謝意の表明。欧州連合という機構において、イタリアはその創立国のひとつとしてふさわしい大きな声をあげるだろう。それは欧州の調和を破壊したり、妨害したりするためではなく、この危機と外的な脅威(貿易協定、原料、エネルギーの供給、移民政策、地政学的選択、テロリズムとの闘い)、市民、企業のために効果的に対応するためだ。EUを1流と2流の会員がいるエリートたちのクラブ、あるいはもっとひどく言えば、会計を正常に保つためだけの委員会が運営する株式会社だとは考えていない。欧州連合は欧州の人々の共通の家であり、この難しい時代を乗り越えるために、単独の国では困難な問題を加盟国がともに立ち向かうべきだ。

しかしながら、単独では困難な問題の解決のために加盟国に協力を求めるのであれば、過剰防衛としての攻撃的反応を、イタリア政府が改める必要があるように思います。フランスのマクロン大統領は「メローニはサルヴィーニの暴力的な方針を貫くのか、それとも話し合いでの解決を望むのか、明確にすべき」と発言したそうです。

●欧州連合において、貿易協定、原材料、エネルギー供給の分野で、有効な解決策が見出せない、ということはありえないことだ。このような問いを発するのは、敵、異端者だからではなく、プラグマティズムによるのであり、「多様な国々の団結」という欧州の独自性である創設以来のモットーを尊重しつつ、待ち受ける大きな課題に立ち向かうために、より効果的に欧州の統合に貢献したいと考えているからだ。欧州共通の家とは、経済・金融分野のルールをも共有することだが、イタリア新政府は、従来のルールを守りながら、現在の安定成長協定からはじめて、機能していないルールを変更するために貢献するだろう。

この箇所では、メローニ新首相が選挙後すぐに、スペインのフランコ主義政党Voxに送った最新のビデオで、ポーランドやスウェーデン、チェコなどの国家主権主義の国々、政党とともに、「われわれには欧州を変えることができる」、と断言していたのを思い出し、「欧州連合のPacchia(幸せな境遇)は終わった」と豪語していたメローニ首相は、やはり欧州連合、欧州委員会の力学を変革する野心を抱いていることを確認しました。メローニ首相は、欧州連合には1流と2流の国が存在し、欧州委員会を、その国々を管理するエリートたちと見なし、イタリアは2流国の扱いを受けていると発言していました。

また、ここでは「イタリアは国際的な場において、建設的という意味で、積極的に声を上げる義務と権利があり、左派政府の時代に頻繁に見られた劣等感を持たずに、国益と欧州連合の加盟国である自覚を持って運命をともにする」とも語っています。しかし客観的に見て、左派政権が劣等感を持って欧州委員会に接していた、とはまったく思えず、むしろ、メローニ首相が左派政権と定義する政府が、パンデミックの救済策として設立された欧州ファンド(Next Generation EU)から、他の加盟国に比べ、より多くの資金(Pnrrー国家復興再生計画)を引き出すことに成功したことは幸運だったはずです。

欧州連合加盟 27国 Wikipediaより。

●イタリアは常にNATOとともにあり、今までのミッションでは多くの兵士たちが生命を賭けた。イタリアはその兵士たちのことを決して忘れない。改めてそのNATOへの忠誠、ウクライナ支援を再確認する。それは侵略戦争、主権国家の領土侵害を容認できないからではなく、国益を守るために最善の方法だからだ。公約を守ることで、イタリアは国際危機の負担をバランスよく分担でき、欧州、西洋社会に要求する権限が得られる。そのためにまず、企業、市民を苦しめているエネルギー問題から取り組んでいく。

イタリアがNATOに強くコミットするのは、レオナルド、フィンカンティエリという巨大軍事産業を抱えていることも、ひとつの理由と思われます。それらの軍事産業のロビイストであった『イタリアの同胞』の創立者のひとり、グイド・クロセットが防衛大臣に任命されたことに、「利益相反(conflitto di interessi)では?」との大きな抗議が起こったというエピソードは前項に記した通りです。また、エネルギーの高騰で深刻な経済状況にあるイタリアは、Pnrr(国家復興再生計画)という欧州ファンド以外に、さらなる救済を欧州委員会に求める準備を進めているようです。

●ウクライナの自由と、われわれの安心を交換することができると考えるのは間違っている。エネルギーを武器としたプーチンの恐喝に屈することでは、問題を解決できない。更なる要求と恐喝を呼び、さらにエネルギー価格を上昇させ、問題を悪化させる。

この部分は、連立与党である『フォルツァ・イタリア』のベルルスコーニ元首相、また『同盟』が、繰り返しロシアとの和平を主張することに対する、断固とした拒否でもあるのでしょう。

●太陽、風、地熱、湖、川など、特にイタリア南部の自然を利用したグリーンエネルギーを発展させることで、エネルギー危機をチャンスに変えることができる。イタリアは少しの勇気と、(計画を)実践する精神があれば、この危機から抜け出し、以前よりも自立できると考えている。エネルギーの高騰に加え、年率11.1%のインフレでイタリアの家族の購買力が低下しているため、生産性向上税制、フリンジベネフィット免除の引き上げ、企業福祉の強化など、家計の所得を増やす政策が必要だ。同時に一次産品の消費税の5%減少を目指す。

●地政学的な緊張によるエネルギー危機が、パンデミック以降の経済成長に水を差し、イタリアの経済は、第2次世界大戦以来、最も困難な状況にある。国際通貨基金の見通しによると、イタリアの成長は-0.2%と、ドイツに次いで最悪の状況が予想されている。この20年間で、フランス、ドイツが20%以上成長しているにも関わらず、イタリアは4%しか成長しておらず、経済と雇用の面で欧州の最下位にランクされている。この10年間、民意がはっきりしない政権が続き、構造的欠陥を解決することができず、成長の基盤が築けなかった。

●2022年7月1日付で、ECB(欧州中央銀行)が債権購入プログラムを終了する決定をし、公的債務が多い欧州加盟国にとっては更なる困難をもたらすことになった。われわれは、嵐のまっただなかにいるのだ。イタリアは、欧州でギリシャに次いで多いGDO比145%の債務を抱えてはいるが、イタリア国家が支出する金額は、債務の利息を差し引いた金額よりも少ない黒字国家で、個人貯蓄は5兆ユーロあるうえ、ポテンシャルな未開発分野が存在する。したがって、われわれが考えていることを実現させることができれば、イタリアに投資することは非常に有利なビジネスになるはずだ。債務を減らすのは緊縮ではなく、長期間継続できる構造を背景にした経済成長以外にない。イタリアに投資する外国企業を歓迎する。

メローニ首相は、「今、イタリアを買うことはバーゲン」と表現し、多くの外国資本をイタリアに呼び込んでいますが、外国資本がイタリアを席巻するような状態は、『イタリアの同胞』が主張する、自立する「sovranismoー国家主権主義」に反するのではないか、という疑問を持ちました。たとえば優良企業が海外資本に買い取られたり、不動産、あるいはホテルやレストランなどが買い漁られた場合、観光を含むイタリアの重要な産業はMade in Italyではなくなるわけで、イタリアの資本はいよいよグローバル化されるのではないか、と思います。しかし未曾有の経済の緊急時、「魂は国家に、財布はグローバルに」という方針なのかもしれません。

イタリア公的債務/GDP比 truenumbers.itより。2022年は-3.3%

●このコンテキスト(経済緊張)における欧州ファンド、Pnrr(国家復興再生計画)はイタリアを近代化するための特別な機会である。欧州委員会のNext Generation EUから支出される689億+1226億(1915億)ユーロを、われわれは最善の方法で使う。無駄なく、遅滞なく(期限までに使われなかった資金は、欧州委員会に返済しなければならないため)使い、さらにエネルギー危機と資材価格の上昇に伴う、支出の最適化(修正を)を欧州委員会と合意する必要がある。この案件はイデオロギー的に、ではなくプラグマティックなアプローチで進める必要があるからだ。

『イタリアの同胞』は、ファンドを得るために、欧州委員会にすでにイタリアが提出し、認可されたPnrrプログラムは、あくまでもパンデミック対策のための救済であり、ウクライナ危機以降のエネルギーの高騰には対応していないため、変更が必要だということを、以前から繰り返し主張していました。しかしPnrrは、基本的に国そのものを救援するためであり、時の政府の意向にしたがっての変更は認められていません。

何より『イタリアの同胞』は、前政権でPnrrに関する法律を議会で通過させる投票に棄権しており、下院議会でジュゼッペ・コンテ前首相にそれを指摘されたメローニ首相は、聞こえないほどの声で、口汚く罵っているところをカメラに捉えられています。なお、イタリアは官僚主義的な手続きがあまりに複雑で時間がかかり、地方自治体、あるいは国家機関が関わる企業、民間でも大企業でなければ、助成金を最終的に諦めざるをえないという状況に陥るケースが多くあり、その場合、使われなかった資金は、欧州連合に返却しなければなりません。

●イタリアではこの20年の間、平均して2年ごとに政権が交代したため、官僚実力主義となり、国際的な場での交渉力が弱い。そのため外資が投資を敬遠してきた。それが『イタリアの同胞』が憲法改正を必要だと考える理由だ。政府はフランスをモデルとしたSemi predenzialismo(半大統領制ー直接選挙で選出された大統領が、首相を任命する)で、市民が直接選挙で大統領を選出するモデルを提案する。偏見に満ちた反論を前にしても、われわれはそれを諦めない。同時にイタリアのいくつかの州の自治を実現させるために、国という枠組みの中で、すでに自治に踏み切った州を追認していく。

前項にも書きましたが『イタリアの同胞』が主張する憲法改正は、まず、いったい何のためにイタリアの大統領制度の変更をする必要があるのか、動議づけが非常に曖昧であり、イタリアにおいてはふさわしくない、と主張する意見が各方面から聞こえます。今のところはまだ議論の俎上にはのぼっていませんが、憲法を改正するには上院下院議員の3分の2の賛成が必要であり、現在の連立与党の議席数では可決は不可能です。その場合は『国民投票』にかけられることになります。

●南イタリアのインフラ整備、不平等の解消、雇用の創出、社会保障の充実、生活の質を上げることに全力を尽くす。南北の格差問題のみならず、ティレニア海沿岸とアドリア海、島々と他の地域の人々の流れや物流を円滑にし、データ通信の接続を改善させる。さらに気候変動、環境問題、水理地質学、海岸侵食に対処する。また、近年の地震、自然災害による復興プロセスに構造的に投資する。すべての観点から国土を大切にすることが、政府の優先事項だ。通信分野においては、ネットワークの公的な所有権を保証しながら、各社による自由競争を確実にするための国家戦略インフラを守る。Pnrrが強く支援するデジタルへの移行に関しては、技術における主権(イタリア独自の技術力という意味?)、国家クラウドとセイバーセキュリティを両立させる。また、国益を守るためにも、高速道路や空港などの公共のインフラの委託には、利益保護条項の導入を考えている。

●イタリアは、競争力のある分野の産業政策に戻らなければならない。ここではブランド、ファッション、贅沢品、デザイン、ハイテクノロジーを考えている。また、欧州レベル、国内レベルのサプライチェーンを統合して、完全な食糧主権を守らなければならない。それは子供たちの食糧を他国に依存しない、ということだ。海上経済に関しては、イタリア全土、特に南部において、戦略的アセットとなるべきだと考えている。イタリアは世界のどの国より、風景、芸術、物語、表現美に溢れ、世界中の人々に愛され、それが観光、文化産業の貴重な源となっている。海外でイタリア語を普及させ、世界各地ののイタリア人コミュティとの絆を強化する。

残念ながら、イタリアのハイブランドは服飾品から陶器に至るまで、フランスのベルナール・アルノー、フランソワ・アンリ・ピノーに次々に買収されていますから、純粋なMade in Italyのハイブランドは、プラダ、アルマーニぐらいでしょうか。それでも多くの魅力的な品々、テクノロジーが、イタリアに存在することに異存はありません、また、いまさらのイタリア語の世界普及の野心の根拠が不明でした。

●国家と生産システムの間の文化改革が必要だ。豊かさは、企業とそこに働く人々により生み出されるのであり、国家の法案や法令による訳ではない。したがって対等な相互の信頼に基づいて、国家は「ビジネスの邪魔をしない」。企業は、官僚主義を削減し、明確で確実なルール、迅速で透明性のある答えを国家に求めている。今後、経済、成長、投資を活発化させるために、行政の手続きを簡単にし、規制を緩和していく。

これはベルルスコーニ政権以来のネオリベラリズム的な宣言だと受け止めました。今後は、大企業、富裕層に極端に優しく、中間層にはまあまあ手厚く、弱者をほとんど顧みない経済政策が打ち出されるかもしれません。

●このコペルニクス的な改革のための3つの税制を考えている。1.企業、家族への減税、付加価値税登録番号(Partita Iva)の保持者には、100000ユーロ(公約では65000ユーロ、現在の提案では90000ユーロが予定されています)に拡大してフラットタックスを導入する。2.税務署と正常な関係が保つことが困難な人々、企業に税金の支払いの休止措置をとる。3.大規模な大企業、市民の脱税、付加価値税登録番号(VAT)詐欺などの大がかりな脱税と闘う。そのために税務署の評価基準を変更することからはじめたい。さらにタックスウェッジを5ポイント削減し、企業の税負担を軽減し、労働者の給与を徐々に増やしていくための介入を目標とする。パンデミック以来、打撃を受けている500万人の自営業者(職人、店舗経営者、フリーランサー)を保護する。

減税は非常に歓迎すべきことですが、財源がまったく不明なまま、公約だけがひとり歩きしているという印象です。また、新政府樹立後すぐに、今まで脱税防止策として2000ユーロが限度だった現金での支払いを、10000ユーロにまで引き上げるという提案がなされ(現在ではおそらく5000ユーロあたりで落ち着くであろうとされています)、これは電子決済が義務づけられている個人事業主の少額の脱税、あるいはブラックマネーの循環には目をつぶる、ということでもありましょう。だいたい10000ユーロなどという現金を持ち歩く人は、マフィアか脱税者以外、ほぼ存在しませんし、普通の市民にとってはまったく縁のない話です。ちなみに個人事業主の68.7%に何らかの脱税の兆候があるというリサーチ結果が出ていました。いずれにしても、たとえば収入の15%とされるフラットタックスは、収入が多ければ多いほど恩恵を受ける税制で、Confindustria(イタリア経団連)、CIGL、UILなどの各労働組合からも絶対反対の抗議が起こっています。

▶︎メローニ首相スピーチ後半

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