• 2018年 3月 どうなる イタリアの春 : 雪と選挙と『五つ星運動』 

    2月末から欧州中に吹き荒れたシベリア寒風ブリアンが、地中海沿岸地域の南国をも掠めて大雪となり、雪慣れしていないイタリア南部は、鉄道も高速道路も乱れに乱れ、大騒ぎになりました。スーツケースを引っ張りながら「ボルツァーノからローマまで26時間もかかるとは。こんなの普通じゃ考えられない。イタリアはどうかしてる」と、声を荒げて文句を言う北部訛りの人や、「雪が解けたのに、まだ3時間待ちなんて!」と、電光掲示板を見上げて苛立つ若者たちのグループ、ビジネスマン、外国人トゥーリストで、テルミニ駅は身動きが取れないほどの人、人、人。一時は大混乱にもなり、ニュースによると午前中の空の便にも遅れが出たようです。 Continue reading

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  • 機が熟すとき: 『鉛の時代』の幕開け、そして『赤い旅団』誕生の背景

    イタリアの70年代、つまり鉛の時代へと遡るうちに底なしの闇に迷い込み、「このまま先に進むことで何かが見えて来るのだろうか」、そして「これらは果たして本当のことだろうか、もし本当なら、こんなことが許されるのか」という不信感が交互に湧き上がり、なかなか踏み込んでいけなかったのが、欧州最大の極左テログループ『赤い旅団』にまつわるエピソードでした。一方で、自分とはまったく関係なさそうな遠い次元の話に思えても、わたしたちの生活そのものが、個人、社会、世界、と多次元のレベルで構築されていて、それを認識するしないに関わらず、実はあらゆる次元を同時に生きている、ということを再確認した次第です。

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  • クリスマス・シーズンに可決した人生最期の『自由』に関する法律:Biotestamento

    2017年もあっという間に暮れようとしています。今年は世界のあちらこちらで一触即発の雰囲気が醸され、このまま世界は一体どこへ向かうのだろう、とじわっと不穏な風が吹く、そんなニュースが多い1年でした。それでも明日は明日の風が吹く。世界じゅうに幸せな2018年が訪れるような明るい風が吹くことを願いたいと思います。ともあれ、今年のクリスマスは、遂にイタリアの下院、上院ともに通過して可決した法案、Biotestamento ( デリケートなテーマなので、訳すのが難しいのですが、「生物学的遺言」、意訳すると「人生の最期の医療を自ら決める自由」というところでしょうか)のことを、少し学んでみることにしました。 Continue reading

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  • 11月25日 ローマの広場:女たちの終わらない闘い We Together

    11月25日は、国連が1999年に定めた『女性への暴力に反対するメモリアルデー』です。世界各国の女性たちがストリートに飛び出して、DV、レイプ、ストーキングなど、近年いよいよ増加の傾向にある『女性への暴力」に断固、NOを突きつけ、それぞれの社会における女性やLGBTの人々への、不当な待遇や不条理な性差別も含めて、We Toghetherと、共に闘う覚悟を確認する日でもある。同日、パリやイスタンブールでも大きなデモが催されたようですが、もちろんローマでも、イタリア全国各地から15万人!という人々が集まり、大がかりで賑やかなナショナルウーマンデモが繰り広げられました。 Continue reading

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  • 『AFMV』で遂に銀幕へ、イタリアのWebを席捲する The Jackal

    たまにはイタリアのWebカルチャーの、メジャーな動きにさらっと迫ってみようと思います。Youtubeに膨大にアップされたWebビデオシリーズで、押しも押されぬ絶対的な人気を誇るのが、ナポリのインディ・フィルムメーカー The Jackal。『インディ』とはいっても、S.r.l (会社組織)としてきっちりマネージされ、Youtuberを含めた他のフィルムメーカーたちとは比較できない、プロフェッショナルなビデオシリーズでWebを席捲しています。わたしも、ナポリマフィア『カモッラ』を描いた『ゴモッラ』パロディシリーズあたりから注目しはじめたのですが、そのThe Jackalがここ数年、あれよあれよという間にいよいよメジャーになって、遂に劇場映画『AFMV』を制作、現在絶賛上映中です。 Continue reading

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  • ローマのイスラム教と欧州一のグランド・モスク Grande Moschea

    わたしはイスラム教のことをほとんど知りません。マグレブの音楽には多少馴染みがあっても、『クルアーン』を読んだこともなく、イスラム文化と自らの文化に接点を見出すこともありません。それでもイスラム教徒の人々には、ちょっとした親愛の気持ちを抱いてもいる。というのもわたしが住むのは、イスラム教徒のバングラデッシュ人が、ミニマーケットやレストランを多く開く地区。長く住むうちに挨拶を交わしたり、世間話をする顔見知りも多くなりました。そこで、わたしとは全く違う文化を持つ隣人たちが、敬虔に信仰するイスラム教に少し近づいてみようと思いたち、ローマのGrande Moschea(グランド・モスク)へ行ってみることにしました。 Continue reading

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  • イタリア中道左派政党連合、「オリーブの木」L’Ulivoとは

    『毎日カオスな政治祭り』にすっかり慣れ親しんだイタリアから見ても、「ええっ」と驚く、ここしばらくの日本の政治混乱に、遠くにいながら気が気でない、なんだか落ち着かない毎日が続いていることを白状せねばなりますまい。そんななか、かつて大きな勢いを持ったイタリアの中道左派政党連合L’Ulivo「オリーブの木」の名がネットに時々現れ、もちろん提案している特定の政治家を支持しているわけではなくとも、「そうそう、そういえばあった、あった」と記憶を新たにしました。そういうわけで、いまさらではありますが、元祖「オリーブの木」、イタリアの「オリーブの木」- L’Ulivo(ルリーボ)とはどんな政党連合だったのか、その概略を軽く追ってみようと思います。 Continue reading

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  • 『鉛の時代』パソリーニ殺人事件の真相と闇:「唯一」の犯人の死

    地中海の明るい太陽輝く、陽気で美しいイタリアには、絶望と悲しみに彩られた深い闇も同時に存在することを、ふいに感じることがある。米国CIAとイタリア国家の一部により、戦後画策された『グラディオ作戦』『フォンターナ広場爆破事件』からはじまった『緊張作戦』に煽られエスカレートした政争で、イタリアを血の色に染めた『鉛の時代』ピエール・パオロ・パソリーニの無残な死もまた、確実な証拠は上がらなくとも、『緊張作戦』の一環と捉える人々が多く存在します。その事件の真相を知るであろう、パソリーニ殺人の犯人として、たったひとり刑に服した当時17歳の少年、ジュゼッペ(ピーノ)・ペロージが今年7月20日、59歳でひっそりと病死しました。 Continue reading

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  • 2017 ローマ 灼熱の夏:Vacanza Movida 水騒動 etc.

    日本も暑い毎日が続いているようですが、今年のイタリアは6月中旬から35℃に達するという例年にない灼熱の日々が続いています。遂に8月に突入した今週は、サハラからの熱嵐、その名もルシフェル、が急襲し、40℃以上!という砂漠予報が続いているにも関わらず、今年はローマの中心街のどこを歩いても、昼も夜も人があふれている、という印象。もちろんローマの人々が海や山に出かける、本格的なヴァカンスシーズンを迎える時期なので、だんだんに人が少なくなるのかもしれませんが、いずれにしても、今年の夏のローマには例年以上の観光客が押し寄せている。 Continue reading

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  • 短編 「ローマン・アラベスク」Roman arabesque

    ここ15年ほどの間に、世界中からの観光客だけでなく、アフリカ大陸、中東、東欧、アジアからの移民、難民の人々もたくさんローマを訪れるようになり、街の景色は少し変わりました。と同時に、さまざまな地域の宗教や文化、習慣や言葉が、古代ローマ帝国時代の遺跡、中世、ルネッサンス、バロックの建造物の間に間に、そこはかと漂うようになった。そこで今回は、たまには創作ものも、ということで、遺跡の風景にそっと漂う『魔法』の匂いを拾って、ロマン派風の『短編』にしてみることにしました。まったくのフィクションでお届けします。 Continue reading

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