Category Archives: Anni di piombo

『鉛の時代』国家の心臓部へとターゲットを変えた『赤い旅団』と謀略のメカニズム

現在、イタリアが置かれた政治状況から、共産党の大躍進と共に生まれた70年代『鉛の時代』の騒乱を俯瞰すると、感慨深い気持ちになります。もちろん思想、インターネットを含む情報環境や時代背景などはまったく異なりますが、昔『共産党』、今『5つ星運動』と市民が一丸となり、既存の政治にNOを突きつけるという有り様は、大戦中のアンチファシスト・パルチザンを経て60~70年代に育まれ、現在に至るまでイタリア市民に根づく『反骨精神』とも言える。ああ言えば必ずこう言う、権力への服従にはほど遠い、この『予定不調和』こそが特筆すべきイタリアの精神性のひとつです。

Continue reading

Published by:

『鉛の時代』 イタリアの知の集積 フェルトリネッリ出版と『赤い旅団』の深い関係

2018年3月16日、戦後イタリアの民主主義の構築を根底から覆した、と言われる『アルド・モーロ元首相誘拐・殺害事件』の40年目のメモリアル・デーを迎えました。長い時間をかけ、重要なポジションにいる検事、数々のジャーナリストたち、歴史家たちにより、あらゆる側面から、この大事件の詳細、背景が調べあげられ、もはやどこから手をつけたらいいのか分からないほどの、幾万の情報が積み上げられています。(この項は、『赤い旅団』誕生の背景  からの続きです。写真はジャンジャコモ・フェルトリネッリとフィデル・カストロ。movieplay.it 、feltrinellieditore.itより引用) Continue reading

Published by:

機が熟すとき: 『鉛の時代』の幕開け、そして『赤い旅団』誕生の背景

イタリアの70年代、つまり鉛の時代へと遡るうちに底なしの闇に迷い込み、「このまま先に進むことで何かが見えて来るのだろうか」、そして「これらは果たして本当のことだろうか、もし本当なら、こんなことが許されるのか」という不信感が交互に湧き上がり、なかなか踏み込んでいけなかったのが、欧州最大の極左テログループ『赤い旅団』にまつわるエピソードでした。一方で、自分とはまったく関係なさそうな遠い次元の話に思えても、わたしたちの生活そのものが、個人、社会、世界、と多次元のレベルで構築されていて、それを認識するしないに関わらず、実はあらゆる次元を同時に生きている、ということを再確認した次第です。

Continue reading

Published by:

『鉛の時代』パソリーニ殺人事件の真相と闇:「唯一」の犯人の死

地中海の明るい太陽輝く、陽気で美しいイタリアには、絶望と悲しみに彩られた深い闇も同時に存在することを、ふいに感じることがある。米国CIAとイタリア国家の一部により、戦後画策された『グラディオ作戦』『フォンターナ広場爆破事件』からはじまった『緊張作戦』に煽られエスカレートした政争で、イタリアを血の色に染めた『鉛の時代』ピエール・パオロ・パソリーニの無残な死もまた、確実な証拠は上がらなくとも、『緊張作戦』の一環と捉える人々が多く存在します。その事件の真相を知るであろう、パソリーニ殺人の犯人として、たったひとり刑に服した当時17歳の少年、ジュゼッペ(ピーノ)・ペロージが今年7月20日、59歳でひっそりと病死しました。 Continue reading

Published by:

『鉛の時代』諸刃の剣 Gladio

多くの無辜の市民の生命を奪い、若者たちの人生を狂わせた、陰謀と流血、虚栄と野望と絶望が渦巻くイタリアの『鉛の時代』。その物語を現在から俯瞰するうちに、先進国と言われる国々に住むわれわれが、かつて『終戦』を迎えた、というのは、実は幻想なのではないのだろうか、という感覚に陥ります。第二次戦争大戦ののちの冷戦下、朝鮮半島、ヴェトナムなどアジアの国々、南米各国、東欧、中東、そして『ベルリンの壁』崩壊後は中東、アフリカへと戦火の矛先は集中していく。われわれの日常からは遠くとも、爆音と燃え盛る炎は、この地球上から消えたことがありません。 Continue reading

Published by:

『鉛の時代』ロッジャP2 Licio Gelli

『鉛の時代』の黒幕と言われるフリーメーソンの秘密結社、ロッジャ(ロッジ)P2については、詳細を知り尽くしている方々がたくさんいらっしゃるので、さらっと上澄みを撫でるだけに留めます。2015年12月15日、当時、P2に君臨したLicio Gelli ( リーチオ・ジェッリ)が、96歳という高齢で、トスカーナ・アレッツォの自宅、Villa Wanda(ヴィッラ・ワンダ)で静かに息をひきとり、その死と同時に人々は、忘れがたく解きようのないわだかまりを記憶に甦えらせました(写真はLicio Gelli コリエレ・デッラ・セーラ紙より)。 Continue reading

Published by:

永遠のP.P.パソリーニ

日本では、もはやマニア、あるいは研究者以外には、あまり語られることのないピエール・パオロ・パソリーニですが、イタリアにおけるここ数年の、特に若い人々の間でのパソリーニ人気の高まりには目を見張るものがあります。今年2015年、彼がオースティアの沿岸、水上機停泊地で惨殺されて40年を迎えた11月2日の命日、ローマはもちろんイタリア各地でパソリーニ関連のイベントが開かれ、新聞、TVのマスメディアも大きく特集を組みました。 Continue reading

Published by:

米国最悪の冤罪事件と『鉛の時代』

ご承知の通り、イタリアも日本と同様、第二次世界大戦の敗戦国です。しかし同じ敗戦国であっても、世界でも10本の指に入る武器産出国であったり、NATOの一員であったりと諸々の状況は大きく異なる。もちろんイタリアはEU連合の一国ですから地政学的な相違が大きいのですが、米伊の関係に関しては、1800年代後半からのイタリア移民に端を発する両国の愛憎が影響しているように思います。(絵 Ben Shahn : Vanzetti e Sacco) Continue reading

Published by:

ジャーナリスト 受難

現在のイタリアのジャーナリズムには、禁忌となるテーマが、ほぼ、存在しないのではないか、という印象を持っています。闇のなかに埋もれ語られずにいた『不都合な真実』に光をあて、徹底的に暴き尽くし分析する、なかなか気骨のあるジャーナリストがイタリアには多くいて、国じゅうが大騒ぎになることも少なくありません。 Continue reading

Published by: