Category Archives: Cultura

ローマの詩人 Valentino Zeichen

ヴァレンティーノ・ザイケンは、イタリアの現代詩における重要な詩人のひとり、と同時にUn personaggio(ペルソナッジョ)としても名高い人物です。イタリア語の辞書で「Personaggio」という単語をひくと、①重要な人物、著名人、名士 ②(劇、小説の)登場人物 ③変わり者、特異な人物、という3つの意味が現れますが、ザイケンに関して言えば、そのすべての意味があてはまると言ってもよいでしょう。

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市民が撮るソーシャル・ムービー Reaction Roma

MACRO Factoryに入った途端、見慣れているはずのローマのストリートの風景、スペースに充ちる不穏をも孕む強烈な音響に、街の深層に迷い込んだような気分になった。そう、そこにインスタレーションされているのは、ローマの住民たちの視線が捉えたリアルなローマの風景、そして今現在、街にじわりと漂う空気感と言えるでしょう。人々が自らの周囲の風景をモバイルやカメラを使って撮影したムービーを再編集、5つのカテゴライズでインスタレーションされた、ローマではじめての実験的『ソーシャル・ムービー』、Reaction Roma。その指揮を執った映画監督であり映像作家の Pietro Jonaに話を聞きました(写真はビデオインスタのひとコマ。 Misunderstories から引用)。

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高校生のスロー・インフォメーション:Scomodo No.0

なるほど。マニフェスト紙は、ローマの高校生たちの編集によるこの月刊誌、『Scomodo(厄介な、迷惑な、邪魔な、気難しい)』を、「スロー・フード」ならぬ、「スロー・インフォメーション」と表現している。スピードと軽さとインパクト、玉石混淆でWeb上を濁流となって流れ、巨大な渦になったかと思うと、瞬く間に消え去る無限の情報に、まさに「Webド真ん中世代」にいる高校生の有志たちが「待った」をかけたという現象です。超人気アンチグローバルFumettista(フメッティスタ:コミック作家)、ZeroCalcare(ゼロカルカーレ)デザインの表紙で、No.0がいよいよ登場しました。

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イタリアのテアトロをぶち壊した Simone Carella

シモーネ・カレッラ(写真左から2番目)の芝居をはじめて観たのは2001年、ローマ市営の劇場、テアトロ・インディアで上演された『Peppe er Tosto』でした。これはローマの『ディケンズ』と呼ばれるジョゼッペ・ジョアッキーノ・ベッリのソネットからインスパイアされた芝居で、テアトロと呼ぶにはあまりに大がかりなイベントだった。テアトロ・インディアの敷地全てを街角に見立て、数え切れないほど大勢の役者が縦横無尽に動き回り、あちらこちらで芝居が同時進行する、という度肝を抜かれるダイナミックな演出。今でもその時の光景と、鳥肌が立つような興奮をありありと思い浮かべることができます。

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ローマ・オリンピック・五つ星

ヴィルジニア・ラッジがローマ史上初の女性市長として華々しく就任して、約100日。時間と闇、利権と癒着、虚偽と犯罪とゴミに覆われた、ローマという都市を正常に機能させる行政システムを構築するには、確かにかなりの荒業が必要とは想像していました。それでも飛ぶ鳥を落とす勢いの五つ星運動ーM5sの新星、ヴィルジニア・ラッジ率いるローマ市政が、こんなに早い時期に、収拾のつかない混乱状態に陥るとは想像しなかった。 Continue reading

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塀の中のオセロ Giancarlo Capozzoli

ローマのレビッビア刑務所を舞台に、イタリア映画の鬼才タヴィアーノ兄弟が撮影したドキュドラマ映画、Cesare deve morire (邦題「塀の中のジュリアス・シーザー」ー2012年ベルリン映画祭金熊賞)では、シェークスピアを演じる受刑者たちの迫真の演技、全編に流れる生命の躍動に圧倒された。レビッビアの受刑者たちが演じる芝居をいつかライブで見てみたい、と強く願い続けるうち、ようやくその機会に遭遇しました。長い時間をかけて準備され、たった1日だけ公演された、受刑者によるシェークスピアの「オセロ」。演出家のGiancarlo Capozzoliに話を聞きます。 Continue reading

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若き地理学者 Giuseppe Maria Battisti

彼がヒップホップのDJとして活躍していることは以前から知っていましたが、まさかローマの郊外をこれほど丹念に研究し、精密に分析する地理学者に成長していた、とはまったく想像していませんでした。最近街角で見かけないと思ったら、去年から英国で働きはじめたということ。たまたま道で会って立ち話をするうち、大学を卒業して1年経つか経たないにも関わらず、客観的で成熟した視点を持ったこの青年に、おおいに学ぶことがあった。そこで日を改めて、ゆっくり話を聞かせてほしいとお願いしてみました。 Continue reading

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変容する画家 Salvatore Pulvilenti

Salvatore Pulvirentiは、彼の描く絵のインパクトもさることながら、その飄々とした風情、柔らかい物腰と常に紳士的な振る舞いに、いつもほっとさせられる画家です。ここ数年、制作を停止、沈黙していたそのサルヴァトーレ・プルヴィレンティの展覧会が、久しぶりにbibliotheで開かれ、展示された作品を観た途端にあっと驚いた。魔術的な色彩が踊るプルヴィレンティ・スタイルからは想像できない、『空』をも感じさせる『墨絵』が壁の一面を覆っていたからです。 Continue reading

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ようこそ、宇宙へ Libreria A. Rotondi

信念と愛情を持って集められた本が並ぶ書店が、わたしは大好きです。選び抜かれた古書、あるいは専門書を扱うちいさい書店の、ショーウインドーに並ぶ本のタイトルを眺めるだけで、今まで知らなかった異次元の世界を垣間見るような気がします。ガラス扉を開いた途端、古いインクと紙の匂い、スペースにひたひたと充ちる本の魂に、ふわりと全身が包みこまれる。これこそ「ローマの書店」と呼びたいLibreria A. Rotondi(リブレリア・A・ロトンディ)を久しぶりに覗いてみました。 Continue reading

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修復のマエストロ Maurizio Bonamici

わたしがやってきた頃のローマの街角には、アルティジャーニ(アルチザン)と呼ばれる、昔ながらの骨董の修復工房、鍛冶工房、木工工房があちらこちらに存在し、工房の前を通ると金槌の音や電動ノコギリの音が響く路地に、ニスや油の匂いが漂ってきたものです。そしてその、長年の経験と直感、指の感触で、時を経たオペラ(作品)を蘇らせる職人、何でも修繕してくれる木工職人とボッテガ(工房)の存在が、魅力的で頼もしい、街角の自然でもあった。 Continue reading

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