Category Archives: Deep Roma

『鉛の時代』パソリーニ殺人事件の真相と闇:「唯一」の犯人の死

地中海の明るい太陽輝く、陽気で美しいイタリアには、絶望と悲しみに彩られた深い闇も同時に存在することを、ふいに感じることがある。米国CIAとイタリア国家の一部により、戦後画策された『グラディオ作戦』『フォンターナ広場爆破事件』からはじまった『緊張作戦』に煽られエスカレートした政争で、イタリアを血の色に染めた『鉛の時代』ピエール・パオロ・パソリーニの無残な死もまた、確実な証拠は上がらなくとも、『緊張作戦』の一環と捉える人々が多く存在します。その事件の真相を知るであろう、パソリーニ殺人の犯人として、たったひとり刑に服した当時17歳の少年、ジュゼッペ(ピーノ)・ペロージが今年7月20日、59歳でひっそりと病死しました。 Continue reading

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小説「パッショーネ」Passione

そもそもこのサイトをはじめるきっかけとなった小説、『パッショーネ』が、KindleiBooksで発売されることになりました。去年から予告していたにも関わらず、思いのほか長い時間がかかってしまったこの小説は、ローマの街角で起こった実際の事件をヒントに、架空の人物、状況を設定し、再構築したミステリー・フィクションです。そこでほんの少しだけですが、一章の半分をこのサイトで公開させていただくことにしました。もちろん、『鉛の時代』のリサーチをはじめ、ローマの人々のインタビュー、出来事を掘り下げるこのDeep Romaは、これから先も今まで通り、ああでもない、こうでもない、と続けていく所存です。

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2017 ローマ 灼熱の夏:Vacanza Movida 水騒動 etc.

日本も暑い毎日が続いているようですが、今年のイタリアは6月中旬から35℃に達するという例年にない灼熱の日々が続いています。遂に8月に突入した今週は、サハラからの熱嵐、その名もルシフェル、が急襲し、40℃以上!という砂漠予報が続いているにも関わらず、今年はローマの中心街のどこを歩いても、昼も夜も人があふれている、という印象。もちろんローマの人々が海や山に出かける、本格的なヴァカンスシーズンを迎える時期なので、だんだんに人が少なくなるのかもしれませんが、いずれにしても、今年の夏のローマには例年以上の観光客が押し寄せている。 Continue reading

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短編 「ローマン・アラベスク」Roman arabesque

ここ15年ほどの間に、世界中からの観光客だけでなく、アフリカ大陸、中東、東欧、アジアからの移民、難民の人々もたくさんローマを訪れるようになり、街の景色は少し変わりました。と同時に、さまざまな地域の宗教や文化、習慣や言葉が、古代ローマ帝国時代の遺跡、中世、ルネッサンス、バロックの建造物の間に間に、そこはかと漂うようになった。そこで今回は、たまには創作ものも、ということで、遺跡の風景にそっと漂う『魔法』の匂いを拾って、ロマン派風の『短編』にしてみることにしました。まったくのフィクションでお届けします。 Continue reading

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人が暮らす現代美術館 : Matropoliz-MAAM それから

このサイトで、以前紹介したローマ郊外の『人が暮らす現代美術館 Metropoliz-MAAM』が5周年を迎えました。開館と同時に国内外のアーティスト、美術批評家やアート通、アート通でない市民、活動家の間で『世界で最もクールな美術館!』と絶賛され、その名声は瞬く間に広まり、遂にはローマ市政のハートをもギュッと掴んだ。『占拠』スペースをアートで埋め尽くすという意表をつくアイデアで、大きなうねりを生み出した「時の人」、文化人類学者、キュレーター、そしてアーティストのGiorgio De Finis(ジョルジョ・デ・フィニス)に話を聞きました。デ・フィニスはMAAMの成功から、ローマの宝石、市営現代美術館MACROの次期ディレクターと目される人物です。 Continue reading

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『鉛の時代』諸刃の剣 Gladio

多くの無辜の市民の生命を奪い、若者たちの人生を狂わせた、陰謀と流血、虚栄と野望と絶望が渦巻くイタリアの『鉛の時代』。その物語を現在から俯瞰するうちに、先進国と言われる国々に住むわれわれが、かつて『終戦』を迎えた、というのは、実は幻想なのではないのだろうか、という感覚に陥ります。第二次戦争大戦ののちの冷戦下、朝鮮半島、ヴェトナムなどアジアの国々、南米各国、東欧、中東、そして『ベルリンの壁』崩壊後は中東、アフリカへと戦火の矛先は集中していく。われわれの日常からは遠くとも、爆音と燃え盛る炎は、この地球上から消えたことがありません。 Continue reading

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巡る世界を創る女性アーティスト・デュオ Grossi Maglioni

常に吹き荒れる社会の逆風をものともせず、果敢に、しっかり未来に向かって歩く女性たちを、わたしは殊更に好ましく感じています。日本における、女性たちの個性と自由を阻む社会環境と偏見もさることながら、多少の改善はあるとはいえ、イタリアにおける女性たちを取り巻く社会のあり方もかなり苛酷。幼い子供を育てながら、刻々と流動するインスタレーションをプロジェクト、まさに「現代社会をコンセプチュアルに表現した」ふたりの新進女性アーティスト、Vera Maglioni (ヴェッラ・マリオーニ : 左)、Francesca Grossi (フランチェスカ・グロッシ : 右)のワークショップに参加、話を聞きました。ふたりはフェミニストです。 Continue reading

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スパドリーニ広場の難民の人々と支援団体Baobab

テルミニ駅に続きローマで2番めに大きなティブルティーナ駅。最近改修され、近代的なガラスの建造物となったその駅の、ガランと人通りの少ない東出口にある閑散としたスパドリーニ広場が、ここ数ヶ月間、自発的な市民ボランティア難民サポートグループBaobab (バオバブ)の、緊急難民センターとなっていることを新聞各紙も注目。たびたびローマの人々の話題に上ります。難民の人々の亡命、移民のための法的な手続き、心のケア、温かい食事、そしてサッカーの試合まで、そのサポートのきめ細かさと人間味のある対応で、高い評価を受けるバオバブを実際に訪ねてみました(写真はクーパ通りから強制退去させられる以前のバオバブのシンボル的壁画)。

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EXCLUSIVE!遂に日本上陸 FUZZ ORCHESTRA

FUZZ ORCHESTRA(ファズ・オーケストラ)の行くところ、唸るようなエネルギーが充満し、場の温度が3℃は軽く上昇する。イタリアのインディ・シーンでは、もはや知らない人はいないFUZZ ORCHESTRAが、桜咲く3月、初のジャパンツアーを敢行します。アグレッシブ、ドラマティックにアヴァンギャルド。ぼんやりしてると彼らが醸す熱狂に、「はらわた」ごと鷲掴みされ虜にされる、なかなかあぶない癖になるバンドです。ジャパンツアーを控えた2月、ローマ・インディの殿堂、Fanfullaで行われたFUZZのライブに、改めて痺れました。
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ローマのユダヤ人と難民の人々 Shoah

ソ連の兵士たちによりアウシュヴィッツー強制労働収容所の扉が開かれ、囚われの人々が解放された1945年の1月27日。その日を、国連は『Shoah(ユダヤ語)ーホロコースト』の犠牲者たちを追悼するインターナショナル・メモリアル・デーとすることを、2005年に正式に認定(イタリアでは2000年から)しています。したがって1月27日には毎年世界各地で、ホロコーストの犠牲者たちを悼むさまざまな催しが開かれる。もちろんイタリアでも、その日を挟む数日間は、学校、美術館、図書館をはじめとする公共施設で、数多くの映画の上映や展示会などが開かれ、過酷な歴史のリアリティをもう一度、胸に刻む一日となっています(写真はローマの Ghetto -ゲットー地区の路地、壁を飾るユダヤ教のシンボル)。 Continue reading

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